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交通事故を民事調停で解決することはできる?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   


弁護士の回答

民事調停は、裁判所での手続きであり、民事上の紛争を話し合いにより解決を図る制度です。

交通事故案件も民事上の紛争となるため、民事調停を利用して解決を図ることができます。

 

調停とは

民事調停は、裁判所での手続きとなりますが、通常の裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話し合いにより当事者間で合意することを目指す手続きです。

通常の交渉であれば、被害者と、加害者あるいは保険会社担当者が、直接交渉することになりますが、民事調停の場合には、調停委員会が間に入って話しを進めます。

調停員会は、裁判官1名と調停委員2名で構成されています。

調停委員は、中立的な第三者的な立場で合意に向けて調整するため、当事者間のみで交渉している時に比べ、円滑に話が進むことが期待されます。

例えば、交渉が決裂した場合や、当事者が感情的になっている場合には、調停委員が間に入ることで、冷静な話し合いができ、迅速な解決が図れる可能性があります。

 

 

民事調停のメリット・デメリット

メリット
申立手続が簡単
申立にあたっては、特別な法律知識までは必要なく、所定の申立用紙に必要事項を記載することで申立てが可能です。
訴訟に比べて、費用が安い
訴訟提起や民事調停をする場合には、裁判所に手数料を納めなければなりません。
この手数料は、訴訟よりも民事調停の方が安く設定されています。
調停が成立した場合、裁判の判決と同じ効力を持つ
民事調停が成立した場合には、調停調書が作成されます。
この調停調書には、裁判の確定判決と同じ効力があり、記載内容が実際に履行されない場合には、強制執行の手続きを行うことも可能となります。
デメリット
相手方が調停に応じなければ手続きは進まない
民事調停は、話し合いにより解決を図る制度です。
したがって、そもそも、相手方が話し合いのテーブルにつかない場合には、調停を進めることができません。
なお、調停への出席は強制ではありません。
調停を理由もなく欠席した場合5万円以下の過料が課される規定(民事調停法34条)となっていますが、実際に過料が課されたという例は、ほとんど聞きません。

 

 

調停の申立手続

民事調停の申立ては、被害者、加害者のいずれからでも申立てることができます。

申立先

民事調停は、簡易裁判所で行われます。

申立をする簡易裁判所は、以下のいずれかです。

  • 加害者の住所を管轄する簡易裁判所
  • 人身事故の場合、被害者の住所を管轄する簡易裁判所
  • 被害者、加害者が合意している場合、双方が合意した地域の地方裁判所または簡易裁判所所

 

申立てに必要な書類

調停申立書

交通事故の損害賠償請求調停(交通調停)の所定の書式があります。

当事者の住所・氏名、調停申立の趣旨、申立の理由を記載し、手数料分の収入印紙と郵便切手を添えて、裁判所に提出します。

その他書類

その他に証拠として、交通事故証明書、診断書などを添付することになります。

他に、交通事故の損害として認めて欲しいものがあれば、適宜、資料を添付しておくとスムーズに手続きを進行できるでしょう。

調停手数料


調停の手数料の一例を紹介します。

賠償金額 手数料
50万円 2,500円
100万円 5,000円
300万円 10,000円

 

調停の開始から解決までの流れ

調停の開始から解決までは、以下の流れで進んでいきます。

①民事調停の申立て

民事調停の申立書を作成し、必要書類を添付して、管轄のある簡易裁判所に民事調停の申立てを行います。

裁判所は、申立てを受付けた後、調停期日を指定して、相手方に申立書などの資料一式を郵送します。

 

②調停期日

指定された期日に民事調停が開かれます。

調停委員が、申立人と相手方、それぞれ別々に話を聞いて言い分を整理します。

1回の調停期日で解決することもあるかもしれませんが、裁判所によれば、期日は2、3回開かれ、おおむね3ヶ月以内に調停が成立し、解決しているとのことです(※事案によっては長期間を要することもあります)。

 

③調停の成立(不成立)

調停の結果、話し合いがまとまれば、合意内容が記載された調停調書を作成して、事案解決となります。

話し合いを重ねた結果、合意に至らない場合には、調停は不成立となり、その後は、裁判に移行するなどして解決を図る必要があります。

 

 

弁護士に依頼するメリット

民事調停は、裁判とは異なり、被害者が一人で進めることは比較的容易です。

もっとも、裁判所に出頭する負担や、資料を集める労力がかかります。

また、調停委員は、中立的な立場にあり、被害者の味方というわけではありませんし、交通事故賠償実務に精通しているというわけでもありません。
したがって、被害者一人で調停を進めていく場合でも、適宜、弁護士に相談されながら進めることをお勧めします。

弁護士に依頼された場合には、申立書の作成から、必要書類の収集、調停期日への出頭も弁護士において対応することが可能です。

ただし、弁護士に依頼された場合には、本当に民事調停を行うことが、被害者の利益になるのかを再検討します。

事案によっては、弁護士が再度交渉をしてみて、合意が無理なら裁判をした方が良いケースもあるかと思います。

加害者側との交渉に行き詰まり、お困りの場合には、お気軽に弊所までご相談ください。

相談の流れはこちらから、ご覧ください。

 

 

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   

実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年実績)を誇るデイライ

ト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。

交通事故をめぐる問題に関して、NHK、KBCなどのメデイアへの取材実績があ

り、弁護士向けのセミナー講師としても活動。


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