交通事故による怪我の治療費が減額されることはあるのですか?

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士
所属 / 福岡県弁護士会
保有資格 / 弁護士
専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)
被害者に過失がある場合、被害者の怪我の治療費であっても、過失相殺により減額されることになります。
目次
治療費の扱い
交通事故で怪我をして被害者となった場合、治療費は加害者が加入する自賠責保険・共済から支払われます。
そして、被害者の治療費を含めた損害額が自賠責保険・共済の傷害補償の法定限度額である120万円を超えると、加害者が加入する任意自動車保険に組み込まれている対人賠償責任保険から支払われます。
自賠責保険・共済における被害者の過失の扱い
自賠責保険・共済では、被害者の過失が7割(5割以上過失があるので、被害者といえるかそもそも問題がありますが、以下では「被害者」として記載を進めます。)を超えると支払われる保険金・共済金から減額されます。
逆にいえば、被害者に過失があっても7割を超えなければ、減額はありません。
これは、自賠責保険という保険が被害者の最低限の救済という目的で作られている保険だからです。
傷害事故のとき
被害者の過失が7割以上のある場合、一律に2割減額されます。
死亡事故・後遺障害が残存する事故のとき
被害者の過失が7割以上のある場合、以下の割合で減額されます。
過失割合 | 減額 |
7割以下 | なし |
7割以上 8割未満 |
2割 |
8割以上 9割未満 |
3割 |
9割以上 10割未満 |
5割 |
被害者の過失が大きくなる事故のとき
以下のような場合、被害者の過失は7割以上とされています。
・被害者が車線変更して事故に遭った
・被害者が一旦停止線で停止せずに衝突
・信号のある交差点(双方青信号)で被害車両が右折中、直進車に衝突
過失割合について、実務上は下記の書籍が参考とされています。
・『民事交通事故訴訟における過失相殺率の認定基準』(別冊判例タイムズ)
・交通事故損害額算定基準(通称:青本)
・民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称:赤い本)
対人賠償保険での扱い
加害者の任意自動車保険に組み込まれている対人賠償保険から支払われる治療費は、自賠責保険の限度額を上回る損害となっている場合、被害者の過失割合に応じて減額されます。
過失割合に応じて減額された被害者の治療費は、被害者の任意自動車保険に組み込まれている人身傷害保険等で補てんできるケースがあります。
詳しくは交通事故専門の弁護士へご相談ください。
また、過失相殺については、こちらもご覧ください。
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弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士
所属 / 福岡県弁護士会
保有資格 / 弁護士
専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)
実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年実績)を誇るデイライ
ト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。
交通事故をめぐる問題に関して、NHK、KBCなどのメデイアへの取材実績があ
り、弁護士向けのセミナー講師としても活動。
