交通事故の示談交渉はいつ始めるのですか?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士
所属 / 福岡県弁護士会
保有資格 / 弁護士
専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)
示談は、損害額が確定してからはじめることになります。
損害額の確定時期は、死亡事故の場合は「49日」以降、後遺障害の残存しない傷害事故の場合「症状固定」あるいは「治癒」した日、後遺症の残存する事故の場合「後遺障害等級確定」後が目途となります。
目次
死亡事故の場合
示談の開始時期
被害者が亡くなった場合には、その相続人が相手保険会社と示談交渉することになります。
49日の法要までの葬儀関係費用を請求することができるため、亡くなって49日以降に損害を確定し、加害者側と示談交渉を開始することになります。
もっとも、示談交渉にあたっては、ご遺族に様々な資料を準備してもらう必要があります。
家族を失った中で、そうした資料を集める負担の大きさは計り知れません。
したがって、ご遺族の可能なペースで資料を集めていただき、資料が揃った時点で交渉を開始することが多いです。
請求できる損害
葬儀関係費、死亡による逸失利益、死亡した本人の慰謝料、近親者の慰謝料などを請求できます。
また、亡くなるまでに治療を要した場合には、治療費・付添看護費・通院交通費・入院雑費・義肢等の装具代、亡くなった本人の治療中の休業損害、亡くなった本人に対する傷害慰謝料等を請求できます。
また近親者固有の慰謝料も請求できます。
後遺症が残存する場合
示談交渉開始時期
後遺症が残っている場合には、その後遺症の後遺障害等級が確定してから、示談交渉を開始することになります。
後遺障害等級は、症状固定後に損害保険料率算出機構に対して、後遺障害の申請を行うことで審査してもらうことができます。
その結果に納得できない場合には、再度、審査してもらうために異議申立をすることもできます。
こうした手続きを踏んだ上で、認定された等級を前提に示談交渉を開始することになります。
なお、損害保険料率算出機構が認定した等級よりも上位等級を前提として、示談交渉を開始することもできますが、相手保険会社は、まず応じないと考えられますので、その場合には、裁判をする必要があるでしょう。
請求できる損害


後遺障害がない傷害事故の場合
示談交渉開始時期
後遺障害がない傷害事故の場合、傷害が治癒した時点か、あるいは、症状固定した時点以降に示談交渉を開始することになります。
傷害が治癒、あるいは、症状固定した時点で、治療費の金額が定まり、傷害慰謝料の金額も確定することから、これらの時点以降に示談交渉を開始することになるのです。
請求できる損害
傷害事故の場合、治療費・付添看護費・通院交通費・入院雑費・義肢等の装具代、休業損害、傷害慰謝料等を請求できます。
示談交渉の相手方
現在、任意自動車保険には、「示談代行サービス」がついています。
したがって、加害者が任意保険に加入している場合には、保険会社の担当者が示談交渉の相手になります。
多くのケースでは、上記した示談交渉開始時期以降に、相手保険会社から被害者に対して、賠償の提示が行われます。その提示を受けて、具体的な示談交渉に入ります。
加害者が任意保険に加入していない場合には、加害者側から賠償の提示をしてくる可能性は低いため、被害者の側から加害者本人に直接賠償の提示をして示談交渉を開始することになります。
示談交渉の相手方が、保険会社でも、加害者本人であっても、示談交渉に必要なのは交通事故の賠償実務の知識です。
特に、保険会社を相手にする場合には、知識の格差があるため、弁護士に相談しながら、慎重に示談交渉を進める必要があります。
保険会社の提示する条件に納得がいかないという方は、早めに専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
ご相談の流れについては、こちらをごらんください。
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弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士
所属 / 福岡県弁護士会
保有資格 / 弁護士
専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)
実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年実績)を誇るデイライ
ト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。
交通事故をめぐる問題に関して、NHK、KBCなどのメデイアへの取材実績があ
り、弁護士向けのセミナー講師としても活動。
