交通事故で脛骨高原骨折。後遺障害は認定される?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士
所属 / 福岡県弁護士会
保有資格 / 弁護士
専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)
歩行中、自動車にはねられる交通事故に遭いました。
そして、脛骨高原骨折(ほか合併症あり)を受傷して半年が経ちました。
保険会社が示談を要求してきていますが、まだ治ってません。どうしたらいいですか?
交通事故で脛骨高原骨折のけがをすると、①膝関節の可動域の制限や②骨折した部分の痛みについて後遺障害が認定される可能性があります。
後遺障害の認定を受けるためには、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、自賠責保険へ申請をすることが必要です。
脛骨高原骨折とは
脛骨とは膝から下の骨です。
足まで伸びている長い骨で、親指側にある骨の方が脛骨といいます。
小指側の骨は腓骨といいます。
脛骨高原骨折というのは、脛骨の上の方の骨が折れてしまうことをいいます。
つまり、膝関節に近い部分の骨折です。
そのため、脛骨高原骨折は脛骨近位端骨折と診断名がつくこともあります。
近位というのは心臓に近い方という意味です。
また、膝関節の面にかかっている場合にはプラトー骨折と呼ばれます。
交通事故の場合、膝関節の部分に強い衝撃が加わってしまうと脛骨高原骨折のけがを負ってしまうことがあります。
事故態様としては、歩行者や自転車、バイクで事故にあったときに転倒して膝を地面に打ち付けてしまうというケースで起こりやすい傾向にあります。
特に高齢者の方の場合、骨の強度が比較的弱くなってしまっているので、脛骨高原骨折をしやすいという特徴があります。
また、脛骨高原骨折は先ほどお伝えしたとおり脛骨の上の方の部分の骨折ですので、その周辺にある膝関節の組織、具体的には半月板や靭帯を損傷するということも一緒に生じることがあります。
脛骨高原骨折による痛みで後遺障害が認められ、倍の賠償額を獲得した事例はこちらをご覧ください。
脛骨高原骨折と後遺症
脛骨高原骨折のけがを負うと、骨折した部分の骨がくっつくまで安静にする保存療法と呼ばれる方法で治療を行うか、手術を行うかになります。
手術を行うのは、骨のズレが大きい場合です。
ズレが大きい場合、そのままにしていると骨がきれいにくっつくことができないためです。
先ほど解説したとおり、脛骨の上の方の部分は膝関節の一部となっています。
そのため、脛骨高原骨折のけがをした場合、一定期間治療を行っても、膝関節の動きが元どおりにならないということが起こり得ます。
特に、プラトー骨折と診断されている場合、骨折が関節面にかかってしまっているので、膝関節の動きに影響を与える可能性が高いといえます。
また、骨折した部分の痛みが時間が経ってもなかなか癒えず、最終的に痛みが残ってしまうということもあります。
このように、脛骨高原骨折の後遺症として、①膝関節の可動域制限と②膝関節周辺の痛みの2つの後遺症が残るリスクがあります。
脛骨高原骨折と後遺障害
そこで、脛骨高原骨折の後遺症について自賠責保険の後遺障害でどのように定められているかをみていきます。
①膝関節の可動域制限
まず、膝関節の可動域制限についてですが、自賠責保険の後遺障害では、以下の等級が設けられており、 可動域の制限の程度によって、後遺障害に該当するか、該当するとして何級に該当するかというのが変わってきます。


可動域をどうやってチェックするかですが、後遺障害の等級を認定する自賠責保険損害調査事務所が、医師の作成する後遺障害診断書に記載された可動域をもとにチェックをすることになっています。
実際に被害者の方と会って測定するわけではありません。
骨折の程度がひどい場合に、手術を行い、その際に膝関節を人口の関節にするというケースもあります。
この場合には、上記の等級よりさらに上の等級が認められる可能性があります。


つまり、交通事故で脛骨高原骨折のけがを負い、人工関節の手術を受けた場合には少なくとも10級10号の後遺障害が認定されるということになります。
②膝関節周辺の痛み
次に、脛骨高原骨折により膝関節周辺に痛みが残ったという場合、自賠責保険の後遺障害では以下に該当する可能性があります。


脛骨高原骨折の場合、関節面に骨折が及んでいると骨がくっついたとしても、でこぼこした形で症状固定となってしまう可能性があります。
このように、関節面に何らかの不整が確認できると12級13号が認定されることになります。
脛骨高原骨折では、12級13号が認定されるケースも一定程度あります。
一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構
脛骨高原骨折のけがをしたら
このように交通事故で脛骨高原骨折のけがをした場合には、どうしても後遺症が残ってしまう可能性があります。
後遺症が残った場合には、医師に後遺障害診断書を作成してもらうことが必要です。
特に膝関節の可動域の後遺症がある場合、可動域の制限の程度によって、後遺障害が認定されるかどうか、認定される等級も変わってきます。
したがって、適切な補償を受けるためには後遺障害の認定がとても大切になります。
交通事故の専門家である弁護士に相談、依頼するなどしてサポートを受けることも検討すべきです。
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弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士
所属 / 福岡県弁護士会
保有資格 / 弁護士
専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)
実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年実績)を誇るデイライ
ト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。
交通事故をめぐる問題に関して、NHK、KBCなどのメデイアへの取材実績があ
り、弁護士向けのセミナー講師としても活動。
