よくある相談Q&A

症状固定とは何ですか?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   


弁護士の回答

症状固定とは、一定期間治療を継続していた怪我が、今後治療を行っても症状の改善が見られない状態のことです。

症状固定日をもって、加害者側からの治療費や休業損害の支払いは終了となります。

 

症状固定とは

ストレッチ交通事故にあって治療を行っていくと、症状が一進一退で、なかなかこれ以上は改善を見込めそうにないという状況が訪れます。

通常、被害者の方に生じる症状は、交通事故にあった直後が一番重く、そこから治療をしていく中で徐々に症状の程度が緩和されていきます。

症状の程度が緩和されている場合には、治療の効果が出ているということになります。

もっとも、一定期間治療を行っていると、その効果も緩やかになってきます。

このように、これ以上治療を行っても症状の改善を期待することができないであろうという時点を症状固定といいます。

例えば、交通事故で足を骨折したという場合、骨折した部分がくっついておらず、ギプスで固定している段階では、いまだ症状固定には至っていないと考えられます。

しかしながら、ギプスを外して、レントゲン検査でも骨がくっついていることが確認された場合には、リハビリを一定期間行った段階で症状固定の時期になってくるといえるでしょう。

ケガが事故前と同じまたほぼ近い状態まで改善する「治癒」とは、意味が違います。

 

事故から症状固定までの期間

傷病の内容や程度、症状の経過には個人差があるので、傷病ごとに症状固定期間を基準化するのは難しいと思われます。

かつて保険会社には、DMK136(Dは打撲1か月で症状固定、Mはむち打ち3か月で症状固定、Kは骨折6か月で症状固定の意味)という目安があったと言われています。

しかし、むち打ち症である頚椎捻挫でも、数か月で症状固定となる場合もあれば、症状固定まで半年以上かかることもありますので、症状固定時期を一般化するのは難しいのです。

弊所での解決事例などを踏まえると、症状固定時期としては、以下のようなイメージとなっています。

頸椎捻挫、腰椎捻挫などのむちうちの場合、6ヶ月以上通院を継続しても痛みが引かない場合には、症状固定として、後遺障害の申請をすることが多いです。

むちうちの場合でも、1年以上通院を継続して症状固定となる方もいます。

骨折により、痛みや可動域制限(体が動かしづらくなる)生じている場合も、少なくとも6ヶ月以上を経過して症状固定となることが多いです。

手術をする必要がある場合には、1年以上治療が必要になることもあります。

醜状障害の場合(顔などに傷跡が残った場合)も、事故から6ヶ月を経過した頃に症状固定とすることが多いです。

高次脳機能障害は、脳挫傷やくも膜下出血などの重篤な傷害を負った場合に、残存する可能性が出てきます。

こうした重篤な傷害による状態が落ち着いてからの症状固定となるため、症状固定までには1年以上は要する傾向にあります。

複数の部位に傷害を負った場合、それぞれの部位で治療の経過は変わってきます。

したがって、症状固定時期は、それぞれの部位によって時期が変わることもあります。

 

 

症状固定は誰が決めるか?

症状固定の判断は、医学的な判断になります。

したがって、医学的知見を持って、もっとも患者に接している主治医の意見が最も参考にされることになります。

突然、加害者側の保険会社から「症状固定とします」、「治療費を打ち切る」と告げられることがありますが、保険会社の担当者が判断できることではありません。

保険会社から、症状固定と一方的に言われた場合には、主治医に相談することをお勧めします。

医者と看護師もっとも、主治医の意見により絶対的に決まるかというとそういうわけではありません。

症状固定時期について、相手方と争いになって話し合いで決まらない場合には、裁判所に決めてもらうことになります。

裁判所は、事故の規模、傷病名、治療の経過、症状の推移、医師の見解など様々な事情を考慮して、症状固定日を確定することになります。

なお、保険会社からの治療費を打切る(症状固定だ)と言われた場合の対応について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

症状固定となった場合

治療費について

症状固定となると、その日以降について、加害者や相手保険会社は治療費を支払う義務がなくなります。

例外的に症状固定後の治療費が認められることもありますが、ほとんどの場合、症状固定後の治療費は認められません。

もっとも、治療を終了しなければならないということではありません。

あくまで、症状固定日以降の治療費を相手方に請求できなくなるということですので、自費で通院を継続することは問題ありません。

 

休業損害について

給料症状固定日をもって、休業損害は請求できなくなります。

症状固定日以降は、後遺障害逸失利益として賠償を請求することになります。

休業損害についてのよくある質問については、こちらをご覧ください。

 

傷害慰謝料について

慰謝料のイメージイラスト傷害慰謝料は、事故日から症状固定日までの入通院による精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

したがって、症状固定日が確定することで、傷害慰謝料が計算できるようになります。

 

 

症状固定後の手続きについて

後遺障害認定手続について

症状固定した後は、後遺障害の申請を行うことになります。

後遺障害の申請方法は、①事前認定と②被害者請求の2つの方法があります。

事前認定は、後遺障害診断書を医師に作成してもらい、相手の任意保険会社が送付すれば、後は相手の任意保険会社が手続きを進めてくれます。

被害者請求は、被害者自身が必要書類を集めて申請する方法です。

被害者請求の場合、認定に有利と思われる証拠を添付できることから、被害者請求をお勧めしています。

ただし、被害者の方が独力で行うのは難しいため、弁護士に相談して手続きをされることをお勧めします。

後遺障害の審査に要する平均審理期間は40日と言われていますが、事案によっては数ヶ月を要することもあります。

カレンダー高次脳機能障害については、6ヶ月程度の時間を要することもあります。

後遺障害等級が確定した後は、相手方に損害賠償請求を行うことになります(示談交渉を開始する)。

弊所の後遺障害申請のサポートについては、こちらをご覧ください。

また、被害者請求により後遺障害を獲得した事例については、こちらをご覧ください。

 

示談交渉について

症状固定時に、痛みなどが軽微であり、後遺障害の申請を行わない場合には、相手方と示談交渉を開始することになります。

弁護士が既に介入している場合には、弁護士において損害を計算し相手方に提示することになります。

弁護士が介入していない場合には、保険会社の方から賠償の提示がなされます。

もっとも、相手方に保険会社がついていない場合には、被害者の方から提示しなければ、示談交渉が始まらないことが多いでしょう。

示談交渉がうまくいかない場合の対処法については、こちらをご覧ください。

詳しくは交通事故専門の弁護士までご相談ください。

弁護士へのご相談はこちらからどうぞ。

 

 

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執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   

実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年実績)を誇るデイライ

ト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。

交通事故をめぐる問題に関して、NHK、KBCなどのメデイアへの取材実績があ

り、弁護士向けのセミナー講師としても活動。


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