よくある相談Q&A

交通事故による入院で個室の費用は請求できる?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   


損害賠償についての質問です。

交通事故の怪我で入院した際に個室や特別室を使用したため、通常よりも費用がかかっています。

この費用についても支払ってもらえますか?

 

 

弁護士の回答

原則として、入院中の個室や特別室などの差額ベッド代は認められません。

しかし、医師の指示や、重篤な脳障害を負ったなどの受傷の内容、程度から個室の必要性がある場合や、入院時に空きベッドがなくやむを得ず個室を使用した場合には、個室料も損害賠償として支払ってもらうことが可能です。

医学的な理由がなく、単に「個室の方がいい」という理由で個室を使用した場合には、個室や特別室などの差額ベッド代は損害として認められる可能性は低いでしょう。

 

入院中の個室使用が認められるとき

寝たきりの男性のイラスト原則として、入院中の個室や特別室などの差額ベッド代は損害として認められません。

ただし、裁判例では、以下の場合に差額ベッド代の補償が認められています。

 

①医師の指示があるとき

説明する男性のイラスト下記の事例のように、下肢の骨折によりトイレまでの移動が困難というような場合には、個室が適切であるという医師の指示も出やすいと考えられます。

事例 個室が適切であるとされた事例

右手関節の機能障害、右股関節の機能障害のある患者が病室内で排せつの必要があり、また「死にたい」など叫ぶことがあった事例

【名古屋地判 H25.4.26】

 

②特別な事情があるとき

 

症状が重篤なとき

植物状態となったとき(大阪地裁H2.4.23)。
脳外傷を負った場合で、ICUに長く入っていた際に、いきなり集合部屋という形ではなく、まずは個室で経過観察をするというケースがあります。

空室がなかったとき

病院側の事情で、そもそも一般病棟が空いていない場合には、被害者側には左右できない事情により、個室となっているため、加害者にその補償を請求することは可能です。
この場合、病院から保険会社へベッドが満床であることを伝えておいてもらう必要があります。

 

 

将来の入院個室使用が認められた例

既払いの入院個室代以外にも、将来の入院個室使用が認められた事例も高次脳機能障害の事案や遷延性意識障害のケースではあります。

事例 東京地判 H12.9.27

びまん性脳損傷により植物状態の患者について、将来も入院することが見込まれるとして将来の入院個室使用料が認められた事例

事例 大阪地判 H13.9.10

症状固定から5年後と10年後各3日の手術の際に必要となる個室料金が認められた事例

事例 神戸地判 H16.12.20

遷延性意識障害の女性につき、症状固定から口頭弁論終結までの個室使用料と、将来の個室使用料を被害者側の求めに応じて、定期金賠償方式で認めた事例

 

 

個室使用の必要性の立証

入院中の個室使用について、医師の指示があったことや症状が重篤であったこと、空室がなかったという特別な事情があったからといって、無条件に個室使用料が損害として認められるわけではありません。

患者である被害者側が、医師の指示があった、症状が重篤であったことや空室がなかったという具体的な事実について主張をし、その裏付けとなる証拠を提出しなければなりません。

証拠としては、診療報酬明細や、診療録(カルテ)など、個室使用の必要性について、具体的な事情や必要な期間が記載された資料が考えられます。

また、主治医の先生の医証や医療照会の結果などを証拠とすることも考えられます。

弁護士が、証拠の収集をする場合には、病院の医療記録の一切を開示してもらい内容を精査するとともに、必要に応じて、医師面談や医療照会を行って証拠を集めます。

集めた証拠から、個室使用の必要性を根拠づける事情をピックアップして、証拠に基づき論理的に主張をまとめることになります。

このような具体的な事情や必要な期間が証明されると、個室等の使用について相当な期間が損害賠償として認められることになります。

 

 

その他の入院に関する賠償について

入院した場合、入院中に必要となるもの(着替え、タオル、洗面用具、ブラシなど)がでてきます。

こうした必要なものを購入するための費用として、入院雑費を請求することができます。

入院雑費の請求できる金額は、自賠性保険の基準では1日1100円、裁判基準(裁判になった場合の賠償水準)では、1日1500円となっています。

交通事故による賠償の計算について、詳しくは交通事故専門の弁護士にご相談ください。

もっとも、入院中で事務所まで相談に来れないという方もいらっしゃると思います。

そうした場合には、出張相談でも対応可能なので、お気軽にお問い合わせください。

出張相談について、詳しくはこちらをご覧ください。

相談の流れについては、こちらからどうぞ。

 

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執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   

実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年実績)を誇るデイライ

ト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。

交通事故をめぐる問題に関して、NHK、KBCなどのメデイアへの取材実績があ

り、弁護士向けのセミナー講師としても活動。


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