よくある相談Q&A

交通事故の裁判はどのくらいの時間がかかるのですか?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   


弁護士の回答

弁護士西村裕一交通事故の裁判は、平均して1年程度を要します。

もっとも、早ければ半年程度で解決する場合もあります。

交通事故の裁判の期間について、交通事故を専門とする弁護士が説明いたします。

 

交通事故の裁判件数

裁判のイラスト交通事故の損害賠償を理由とする裁判が提起された件数は、2005年には簡易裁判所が4582件、地方裁判所が7015件の合計1万1597件でした。

しかしながら、それ以降、毎年のように裁判件数が増加し続け、2010年は簡易裁判所への訴訟提起が1万1413件、地方裁判所への訴訟提起が8925件の合計2万0338件にまで増え、直近のデータである2018年には簡易裁判所への訴訟提起の件数が2万件を超え、2万2098件まで増えています。

地方裁判所の件数も1万6129件で合計3万8227件となっています(下記の表参照)。

これだけ裁判件数が増えていますが、ご承知のとおり、交通事故の件数は減少しています。

2005年は93万4346件でしたが、2018年には43万0601件とほぼ半減しています。

それにもかかわらず裁判の件数が増えているのは、弁護士費用特約という保険が浸透したことによるものと思われます。

交通事故において、裁判を行う場合には、相当額の弁護士費用を要しますが、弁護士費用特約を利用することで、その費用を保険で賄えるのです。

弁護士費用特約の利用により、交通事故での裁判を行うという選択肢がより一般的になった結果、交通事故件数が減少しているにもかかわらず、裁判件数は増加していると考えられます。

なお、デイライト法律事務所北九州オフィスのある北九州市の裁判の管轄は小倉簡易裁判所、福岡地方裁判所小倉支部になります(どちらも北九州市小倉北区金田の同じ建物内にあります。)。

 

交通事故損害賠償請求の訴訟提起件数

2005年 2010年 2017年 2018年
簡易裁判所 4582件 1万1413件 2万2719件 2万2098件
地方裁判所 7015件 8925件 1万6005件 1万6129件
総数 1万1597件 2万0338件 3万8724件 3万8227件

交通事故件数(人身事故のみ)

交通事故件数 93万4346件 72万5924件 47万2165件 43万0601件

 

 

裁判の期間

カレンダーそれでは、実際に裁判を提起した場合に、解決までにどのくらいの期間がかかるのでしょうか。

裁判所が公表している資料(「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)」)によると、2018年の地方裁判所における全体の平均審理期間は9か月となっています。

事件別に分類すると、交通事故に関する裁判の平均審理期間は12.4か月と全体よりも3か月半ほど長く時間がかかっているということがわかります。

これは、交通事故の裁判の場合には、病院などのカルテ開示の手続を行うため、開示までの時間がそれなりにかかることが原因と考えられます。

裁判所の上記資料によれば、審理期間(第1審)の割合は、以下のようになっています。

6カ月以内 19.7%
6カ月超1年以内 41.3%
1年超2年以内 32.7%
2年超3年以内 5.3%
3年超5年以内 1.0%
5年超 0.04%

 

交通事故裁判の流れ

訴状の提出

訴状を裁判所に提出することによって、裁判は開始することになります。

相手方に請求する金額が、140万円以下であれば簡易裁判所に訴状を提出します。

請求額が140万円を超える場合には、地方裁判所に訴状を提出します。

 

第1回期日の指定

訴状を提出すると、第1回目の裁判を行う日が決まります。

裁判が行われる日を期日といいます。

第1回期日は、訴状を提出してから1~2カ月程度の間に指定されることが多いです。

第1回期日の前までに、相手方から「答弁書」が提出されるのが一般的です。

第1回期日において、第2回目の期日が指定されます。

 

第2回目以降

第2回期日以降は、相手方が訴状に対する反論を行い、さらにそれに対して被害者側が再反論をするという流れで進んでいきます。

第2回目期日以降は、こうした主張と反論を繰り返すことになります。

期日の間隔としては、一般的には1~2カ月程度の間隔で行われます。

 

裁判所からの和解の提案

双方の主張と立証がおおよそ尽きたところで、裁判所から和解の提案があります。

双方の主張を踏まえて、裁判所が、解決について一定の考えを示し、具体的に〇〇万円を支払うことで解決できないかという提案があるのです。

ここで、双方が納得することができれば、和解により裁判は終了となります。

そもそも和解できる見込みがないような場合には、和解の提案もされずに尋問手続きに移行します。

 

尋問手続き

弁護士事件の争点となっている問題を明らかにするために、事故の当事者や関係者の尋問を行います。

尋問は、裁判所において行われます。

そもそも、尋問をする必要がない場合には、尋問手続きは実施せず、双方の主張立証が尽きたところで判決となります。

 

判決

尋問手続きの後に、もう一度、裁判所からの和解の提案があります(和解の余地がない場合にはありません)。

裁判所の提示で双方が納得できる場合には、和解によって裁判は終了となります。

和解が成立しなかった場合には、裁判官が判決を下すことになります。

 

控訴(上告)

裁判所が出した判決に不服がある場合には、控訴することができます。

控訴した場合には、さらに上級裁判所で審理が行われます。

上級裁判所の判決でも納得できない場合には、上告することができます。

日本は3審制をとっており、上訴(控訴、上告)した場合、以下のような順番で移行していきます。

請求額が140万円以下の場合
簡易裁判所 → 地方裁判所 → 高等裁判所
請求額が140万円を超える場合

地方裁判所 → 高等裁判所 →最高裁判所

以上が、一般的な裁判の流れです。

上記したとおり、交通事故裁判の場合、平均して1年程度の期間を要しますが、早期に終結するケースもあります。

早期解決するケースは、争点が少なく、比較的早い段階で裁判所から和解案が提示できるような場合です。

逆に争点が多く、当事者間の主張が鋭く対立しているような場合には、1年以上の時間を要することもあります。

弊所で裁判をして解決した事例についてはこちらをご覧ください。

 

裁判の終結方法

交通事故以外の事件も含めた全てのデータにはなりますが、終結した裁判の結果は下図になっています。

判決の割合が41.4%と多くなっていますが、相手方が欠席して行われる判決も含まれており、この割合が40%(2万4520件)に上るため、相手方も出席した上で実質的な審理が行われた件については、40%ほどは和解によって終了しているといえます。

裁判の終局処分の種類と割合(2016年)

終局処分の種類 件数
判決 6万1323件
和解 5万2957件
取下げ 2万3683件
それ以外 1万53件
全体 14万8016件

 

 

裁判をするかどうかの判断

裁判をした場合には、交渉段階では請求できなかった遅延損害金や弁護士費用などを請求することができます。

また、賠償の水準は、最も高水準である裁判基準で賠償を受けることができます。

もっとも、裁判にはリスクもあります。

加害者側は、裁判になった場合には、交渉段階で話し合っていたことを白紙に戻して、一切について、再度検討して反論を行ってきます。

したがって、交渉段階では賠償を認めていた損害について、裁判においては争ってくる可能性があるのです。

例えば、治療にについて、交渉段階では1年分を認めていたのに、裁判になると半年分しか認めないといった主張をしてきます。

このような主張がなされた場合には、被害者側において1年間の治療が必要であることを主張立証する必要があります。

仮に、立証できなければ、治療費は半年分しか認められないことになるのです。

したがって、裁判をする場合には、各損害項目について、どの程度の立証が可能かを十分見極めることが重要です。

ですから、裁判をするかどうかの判断は、弁護士でないと難しいでしょう。

裁判を検討されている方は、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。

弊所へのご相談の流れはこちらをご覧ください。

 

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執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   

実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年実績)を誇るデイライ

ト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。

交通事故をめぐる問題に関して、NHK、KBCなどのメデイアへの取材実績があ

り、弁護士向けのセミナー講師としても活動。


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