むちうち(頸椎捻挫、腰椎捻挫)の後遺症

むちうちとは

交通事故にあうと首から肩が痛くなったり、腰が痛くなったりします。

特に、追突事故の場合には、後ろから不意打ちで衝撃が加わります。

そのため、後ろからの衝撃で、被害者の首が前後に揺れます。

このことが原因で、首や肩が痛くなるという症状が出ます。

こうした症状がむちうちの典型です。

むちうちは、病院に行ってレントゲン検査をしても骨に異常がないため(骨が折れていれば、骨折となります。)、頚椎捻挫、頸部挫傷、外傷性頚部症候群といった診断名が診断書に記載されます。

端的にむちうち症候群と記載をする医師もいます。

また、むちうちになると、首や肩の痛みだけでなく、頭痛やめまいといった症状や手先がしびれるといった症状が出ることもあります。

首の周辺には、神経が通っているため、交通事故の影響で神経にも影響がでることがあるのです。

このように、一口にむちうちといっても、被害者の方に生じる症状は千差万別です。

しかしながら、レントゲンやCTでは異常がみられないことが多いため、医師や保険会社にもなかなか被害者の方の症状が正確に伝わりにくいという難しさがあります。

むちうちの後遺症で後遺障害が認定された事例はこちらをご覧ください。

 

 

むちうちの種類

むちうちと一口にいっても、実はいくつか分類があるといわれています。

土屋医師が発表したことから土屋分類と呼ばれています。

土屋医師がこの発表をされたのは40年以上前ですが、現在でも参考にされています。

頸椎捻挫型

この類型では、筋の伸張が原因で、運動制限や運動痛が生じるというのが特徴です。

神経症状は生じないと考えられており、治療経過も良好で痛みがほとんど残らないとされています。

頸椎捻挫型では、後遺障害が生じることはまれといってよいでしょう。

 

根症状型

この類型は、頸椎捻挫型と異なり、神経根の症状が生じます。

そのため、知覚障害や放散痛、反射の異常や筋力の低下を伴うことがあります。

根症状型は、こうした神経症状を伴いますので、治療してもしびれがとれないという方が出てきます。

この場合、自賠責による後遺障害に該当する可能性があります(主に14級)。

専門的な話になりますが、頸部には神経根があり、そこから腕や手などの末端に神経がつながっています。

つまり、それぞれの神経が支配している領域が存在するということです。

したがって、理屈だけでいけば、しびれが生じている部分がどこかによって、どこの神経根に異常を来しているかがわかるということになります。

むちうちで後遺障害を認定されるに当たって、腱の反射検査が重要な判断材料とされているのは、こうした理由があるのです。

 

バレ・リュー症状型

交通事故に遭ってから頭痛やめまい、吐き気の症状が出ている方もいらっしゃると思います。

これは、自律神経(主に交感神経)に異常を来していることが原因としておこる各主症状です。

場合によっては、上述の神経根の症状と一緒に生じることもあり、土屋分類では混合型として分類されています。

 

 

むちうちの検査、診断

むちうちの診断にあたっては、神経学的な所見から適切な検査を受ける必要があります。

スパーリングテスト

脊髄から枝分かれした頸髄神経は左右に8本あり、この神経が上肢を支配しています。

スパーリングテストは、神経根の障害を調べるテストです。

すなわち、頭を傾けて後方に押し付けたときに、神経根の出口が狭められることにより、神経根の支配領域に放散痛や痺れが生じるかどうかを判断するものです。

このテストで+になった場合には、神経根に障害があると判断する一つの事情となります。

 

徒手筋力検査

神経障害の場合、その神経が支配している筋力が低下します。

頸髄神経は上肢(肩、腕、手)を支配していますが、三角筋、上腕二頭筋はC5C6が、上腕三頭筋はC6ないしC8が支配しています。

検査結果は0から5の6段階で評価され、5が正常となります。

 

筋委縮検査

神経の痺れ、麻痺が続くと筋肉は萎縮して小さくなります。

筋委縮検査は、筋の周径を図り、萎縮の程度を検査する検査です。

 

深部腱反射

この検査は、ゴムハンマーで腱を叩き、筋肉に刺激を与えたときにおこる筋収縮の反応をみるものです。

神経根に異常がある場合には、反射が低下ないし消失してしまいます。

したがって、腱反射が低下している場合には、神経障害があると判断でき、むちうちを医学的に説明できる可能性が高まります。

検査を適切に受け、適切な後遺障害を認定してもらう

こうした検査を適切に受けることで、むちうちによる神経障害で適切な後遺障害を認定してもらわなければなりません。

そのためには、事故直後から交通事故に精通した弁護士に相談し、サポートを受ける必要があります。

 

 

むちうちと後遺障害

このようにむちうちによる症状はその内容や程度が被害者に応じて異なるもので、中には、一定期間治療を継続したにもかかわらず、首の痛みやしびれが改善されないということもありえます。

これがいわゆるむちうちの後遺症です。

しかしながら、被害者の方に生じたむちうちの後遺症がすべて保険会社に補償してもらえるわけではありません。

交通事故の賠償において、後遺症を補償してもらうためには、原則として、自賠責保険の後遺障害の認定を受けなければならないからです。

そこで、むちうちによる後遺症が後遺障害として認められることがあるのかという問題が生じます。

この点、むちうちによる後遺症も後遺障害として認定される可能性はあります。

後遺障害と認定されるには?

将来においても回復が見込めない症状であることを医学的に証明できる場合には、神経系統の機能または精神障害として、後遺障害とされます。

ポイントは、「医学的に証明できる場合」ということです。

具体的には、後遺障害12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」というものと14級9号の「局部に神経症状を残すもの」という後遺障害が認定される可能性があります。

むちうちの後遺障害等級別グラフ

なお、頸部を脱臼・骨折や頸髄損傷を伴う場合には、神経系統の機能または精神、脊髄の障害、脊柱及びその他体感骨の障害として、別途後遺障害等級の認定がなされます。

 

 

12級13号と14級9号の違い

12級13号と14級9号の違いは、後遺障害の基準の文言上は「頑固な」というのが入っているかどうかの違いです。

この「頑固な」という部分をどのように判断しているかというと、むちうちによる後遺症が医学的に証明できているといえるかという基準で判断しています。

画像の所見と症状との整合性

MRI画像具体的には、むちうちがレントゲンやCTでは異常がみられないことが多いといっても、MRI画像で神経を圧迫していることが明らかに確認でき、その圧迫している部分に関係する部分がしびれているというように画像の所見と症状との整合性が取れていて、また、その他の検査で異常がみられている場合に、12級13号が認定されることがあります。

検査の所見で異常がみられるかどうか

むちうちに関する主な検査では、スパーリングテストやジャクソンテストといった神経誘発テスト、深部腱反射検査や筋萎縮検査の所見で異常があることが、12級13号の後遺障害が認められるかどうかの重要なポイントとなってきます。

なお、むちうちの後遺障害として認定される後遺障害のほとんどは14級9号の方で12級13号が認められるケースは少ないのが現状です。

むちうちで後遺障害の申請をする場合、MRI検査は受けるべきかについては、こちらからどうぞ。

 

 

後遺障害の認定に当たって考慮される事情

むちうちの後遺障害の認定に当たって考慮される主な事情としては、以下のものが挙げられます。

事故の程度

追突事故まず、交通事故がどの程度のものであったのかという点が考慮事情となります。

すなわち、事故が玉突き事故なのか、交差点での出会い頭の衝突でエアバックが出るようなものだったかどうか、車に乗っていた際の事故なのか、それとも歩行者で車にぶつけられたのかといった点です。

この点に関しては、車の修理代の額や損傷状況のわかる写真などが事故の程度を証明する資料となります。

 

通院状況、治療内容

医師の説明次に、交通事故にあってから症状固定に至るまでの通院状況も考慮されます。

具体的には、交通事故にあってから最初に病院に行ったのはいつか、転院をしたりしているかどうか、通院の回数といった事情です。

また、通院の回数に加えて、実際に通院した際にどのような治療をしているかどうか、薬を処方されているかどうか、処方されている場合にはどのような薬が処方されているかといった治療の内容についても後遺障害の認定にあたって考慮されます。

証明資料としては、診断書や診療報酬明細書、調剤明細書になります。

 

症状の程度、推移

カレンダーのイラストさらに、被害者の方のむちうちによる症状がどのようなものであったかという点も当然考慮されることになります。

具体的な症状は病院が作成する診断書の記載から判断されます。

また、事故の当初から症状固定に至るまでの間にその症状がどのように推移しているかといった事情も考慮されます。

これは毎月作成される診断書の記載内容がどのように変化しているかを確認することで判断されています。

 

症状の今後の見通し

説明する男性のイラスト症状固定に至った時点で、被害者の方に残っている後遺症が今後どのように経過していくと見込まれるかという点も考慮事情となっています。

この点は、医師が作成する後遺障害診断書に、今後の見通しについて記載する部分があり、ここにどのように記載がなされているかをチェックすることになります。

様々な事情を総合的に判断

こうした事情を総合的に判断することで、被害者の方に残っているむちうちの後遺症を後遺障害として認定すべきかどうか決定されることになります。

総合的な判断になるため、何回通院すれば後遺障害が認定されるといった明確な基準はありません。

そのため、むちうちの後遺障害の認定に関しては、被害者の方が自分だけで手続を行うのは非常に負担が大きく、専門家である弁護士のサポートを受ける必要があります。

 

 

むちうちの後遺障害を申請するには

後遺障害診断書を作成してもらう

むちうちの後遺症が残ってしまった場合、後遺障害診断書を医師に作成してもらう必要があります。

作成してもらうタイミングは症状固定の段階で、被害者の症状ごとに異なってきますが、一般的な目安としては交通事故から半年程度治療を経過してからということになるでしょう。

症状固定とは、これ以上治療をしても症状の改善を期待することができない状態をいいます。

つまり、ある程度治療を尽くしたといえなければなりません。

診断書の作成にあたっては、被害者の方の症状をしっかりと医師に伝え、診断書に記載してもらうことが大切です。

後遺障害の判断は、後遺障害診断書の自覚症状の項目に記載されたものが対象となります。

したがって、自覚症状の欄に記載してもらえなければ、その症状は後遺障害の審査対象とはなりません。

また、先ほど解説したとおり、今後の症状の見通しについても記載してもらうことになりますが、ここで「軽減する」、「治るであろう」というような記載があると後遺障害として認められる可能性は低くなってきますので、診断書に記載してもらう内容にも注意を払う必要があります。

 

事前認定か被害者請求かを選択する

医師に後遺障害診断書を作成してもらえたら、後遺障害の認定手続きへと移っていきます。

この認定手続きには相手方の保険会社に手続きを委ねる事前認定と被害者側で手続きを進める被害者請求という2つの方法があります。

事前認定と被害者請求の手続きについて詳しくはこちらをご覧ください。

 

まとめ弁護士むちうちの後遺症は被害者の方にとって、非常に辛いものです。

むちうちは、骨折などと違い、客観的に明らかな病気ではありません。

つまり、自覚症状が中心の傷病です。

しかし、だからといって後遺障害が認定されないということではありません。

矛盾するようですが、いかに自覚症状を第三者に認識してもらえるかというのが大切です。

そのために、毎月保険会社に提出する診断書や治療経過を適切に記載してもらうこと、検査を受け、その結果を後遺障害診断書に記載する必要があります。

こうした後遺症を適切に後遺障害として認定してもらうことが、適切な補償を受けるために必要になってきます。

むちうちでお困りの方は、専門家である弁護士に相談することも必要になってきます。

是非一度ご相談ください。

ご相談の流れはこちらをご覧ください。

 

 

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