後遺症の種類

「後遺症」と「後遺障害」というのは、全く違うものであるという点を交通事故の被害者の方は知っておく必要があります。

後遺障害とは、治療を続けても完治することがなく、身体的あるいは精神的な不具合が将来にわたって残ってしまう状態をいいます。

これより、後遺障害の種類について説明いたします。

後遺障害の認定について、詳しくはこちらをご覧ください。

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後遺障害とは?

 


外傷性てんかんの後遺障害

てんかんとは

MRI画像てんかんとは、大脳のニューロンの過剰な突出的発射を原因とする反復性の発作のことをいいます。

大脳の神経細胞(ニューロン)は通常は規則正しいリズムで調和を保った状態を維持します。

しかし、このリズムが崩れることにより、発作が起こるのです。

てんかんは、先ほどの説明からもわかるとおり、繰り返し起こるという反復性が特徴です。

てんかんの診断にあたっては、脳の神経細胞の動きを脳波検査により計測することがとても重要です。

また、この脳波検査は、発作型の判定にも有用です。

てんかんが疑われる場合は、脳波検査を必ず受けるべきです。

脳波検査とともにMRIやCTの神経画像検査もあわせて受ける必要があります。

 

等級一覧

下肢について、後遺障害認定基準では以下のものが規定されています。

てんかんの後遺障害等級別グラフ

 

認定基準

てんかんの後遺障害等級別グラフ

1か月に2回以上の発作が起こる場合には、てんかん発作だけでなく、脳挫傷などによる高次脳機能障害といった障害があわせて残ることが多いです。

 

 

高次脳機能障害(遷延性意識障害)

高次脳機能障害(遷延性意識障害)とは

交通事故により、脳に損傷を受けた場合、事故前と比較して人格や性格に変化が生じたり、記憶力の低下といった異常を来し、働くことができず、日常生活でも支障が生じることがあります。

このような、外見上は回復していると考えられるにもかかわらず、認知障害や行動障害、人格変化といった症状が生じ、社会生活を正常に営むことが困難な状態になることを高次脳機能障害(遷延性意識障害)といいます。

高次脳機能障害は、近年において注目されるようになった後遺障害です。

 

高次脳機能障害(遷延性意識障害)の後遺障害等級一覧

高次脳機能障害(遷延性意識障害)に関しては、別表第1の1級から別表第2の9級といったところで認定されています。

症状が軽微な場合は、12級や14級に該当すると判断されるケースもあります。

高次脳機能障害の後遺障害等級別グラフ

高次脳機能障害(遷延性意識障害)については、上記の基準の認定に当たって、補足的な考え方という指針が設けられており、実務上用いられています。

高次脳機能障害の後遺障害等級別グラフ

 

高次脳機能障害(遷延性意識障害)の特徴

①認知障害や行動障害、人格変化といった典型的な症状

高次脳機能障害(遷延性意識障害)では、記憶力や注意力・集中力といった能力に問題を生じる認知障害をはじめ、周囲の状況に応じた行動ができないという行動障害、事故前と比べて、自己中心的になったり、変なこだわりを持ったり、意固地になったりという人格変化といった症状が起こります。

②脳外傷によるびまん性脳損傷を原因とする

高次脳機能障害(遷延性意識障害)は、交通事故の際に頭を地面に強く打ちつけてしまった場合のように、脳に外傷を負った際のびまん性脳損傷を主な原因として生じます。

③社会生活を営むことが困難になる(生活能力の低下)

高次脳機能障害(遷延性意識障害)により①の各種症状が現れた場合、就労や日常生活に支障を来し、社会生活を営むことが難しくなり、重いケースの場合には、介護が常に必要になることもあるのです。

④見落としがちな障害

高次脳機能障害(遷延性意識障害)は、外見上回復していると見えるため、医師によっても適切に診断されず、見落とされてしまうこともある症状です。

 

高次脳機能障害(遷延性意識障害)認定のポイント

MRI画像交通事故による高次脳機能障害の認定に当たっては、

①交通事故による外傷で脳に損傷を受けたことが画像資料により明らかであること(因果関係、画像所見)、②意識障害の有無と程度、③事故前との異常傾向の程度

がポイントとなります。

まず、交通事故との高次機能障害(遷延性意識障害)との因果関係の観点と高次脳機能障害(遷延性意識障害)と認められるかという2つの観点から、高次脳機能障害(遷延性意識障害)においては、画像所見が極めて重要です。

認定に当たっては、脳にびまん性脳室拡大や、脳萎縮の症状といった器質的な変化が生じている必要があります。

これを判断するのが、CTやMRIといった画像所見です。

したがって、頭部に外傷を負った場合には、事故後の早い段階でCTやMRIの撮影を行っておくべきです。

次に、高次機能障害(遷延性意識障害)は頭部の傷害により意識障害が生じた場合に発生しやすいと言われています。

したがって、意識障害の有無、意識障害があった場合には、その時間や程度を適切に把握しておくことが重要です。

そして、当該意識障害について、きちんと後遺症診断書やカルテに記載してもらっておかなければなりません。

第三者である損害保険料率算出機構が判断するに当たっては、医師のカルテや診断書といった客観的な資料が大切であることはお分かりだと思います。

最後に、先ほどの説明した高次脳機能障害(遷延性意識障害)の症状が生じていることも必要です。

これを立証するためには、主治医の診断はもちろんですが、家族や介護者といった身の回りの人から得られる日常生活の情報が有用です。

何かあったときには忘れずにその都度メモを取って、主治医に相談しておくことが大切です。

 

高次脳機能障害(遷延性意識障害)の判断基準

交通事故による高次脳機能障害は、通常の後遺障害の認定手続と異なり、慎重な判断が求められるため、高次脳機能障害を取り扱う専門部での審査となります。

以下、高次脳機能障害の審査対象となる事案についてご説明します。

自賠責保険で高次脳機能障害事案として審査対象となる事案

診断医が高次脳機能障害または脳の器質的損傷の診断をおこなっている場合

後遺障害診断書において、高次脳機能障害を示唆する症状が認められる場合には、後遺障害診断書および神経系統の障害に関する医学的意見書が必要になります。

この場合は全件が審査の対象になり、全件、高次脳機能障害に関する調査を実施の上で、自賠責保険(共済)審査会において審査をおこないます。

 

診断医が上記診断をおこなっていない場合であっても該当する事案

後遺障害診断書において、高次脳機能障害を示唆する症状が認められない場合などでも、以下の①~⑤のいずれかに該当すれば高次脳機能障害が認められる場合があります。

こちらは頭部外傷に関して、後遺障害診断書が発行されない状態で、自賠責保険の請求がなされている被害者を救済することを主旨としているものです。

高次脳機能障害(または脳の器質的損傷)の診断がおこなわれていないとしても、この傷病が見落とされる可能性があるため、慎重に調査をするとされています。

具体的には、原則として被害者本人の家族に対して、脳外傷による高次脳機能障害の症状が残存しているか否かの確認をおこない(日常生活状況報告書)、その結果、高次脳機能障害の症状が認められる場合には、高次脳機能障害に関する調査を実施の上で、自賠責保険(共済)審査会において審査をおこないます。

①初診時に頭部外傷があり、経過の診断書において、高次脳機能障害、脳挫傷(後遺症)、びまん性軸索損傷1、びまん性損傷の診断がなされている症例

②初診時に頭部外傷の診断があり、経過の診断書において、認知・行動・情緒障害を示唆する具体的な症状、あるいは失調性歩行、痙性片麻痺など高次脳機能障害に伴いやすい神経系統の障害が認められる症例

具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

認知低下、思考・判断力低下、記憶障害、記銘障害、見当識障害、注意力低下、

発動性低下、抑制低下、自発性低下、気力低下、衝動性、易怒性、自己中心性

③経過診断書において、初診時の頭部画像所見として頭蓋内病変が記述されている症例

④初診時に頭部外傷があり、初診病院の診断書において、当初の意識障害(半昏~昏睡で開眼・応答しない状態:JCS2が3~2桁、GCS3が12点以下)が少なくとも6時間以上、もしくは、健忘あるいは軽度意識障害(JCSが1桁、GCSが13~14点)がすくなくとも1週間以上続いていると確認できる症例

(頭部外傷後の意識障害についての所見)

⑤その他、脳外傷による高次脳機能障害が疑われる症例

 

症状固定時期の考え方(小児・高齢者の場合の留意)

成人被害者の場合

通常は受傷後1年以上を経てから症状固定が妥当とされています。

小児の場合

考える子どものイラスト小児の場合、受傷後1年を経過した時期でも、後遺障害等級認定が困難なことがあります。

成人後の自立した社会的生活や就労能力をより正確に判断するため、幼稚園や学校での集団生活への適用困難の有無を確認する必要があります。

例えば、乳幼児の場合は、幼稚園等の集団生活をおこなうまで、幼児では就学期まで、後遺障害の認定をまつという考えも尊重されるべきといわれています。

高齢者の場合

症状固定後一定期間が経過し、状態が安定した時点を症状固定とします。

後遺障害等級認定後に悪化した場合、交通事故による受傷が通常の加齢による変化を超えて悪化の原因になっていないことが明白でない限り、上位等級への認定変更の対象とはなりません。

高次脳機能障害をはじめとする当事務所の弁護士による解決事例はこちらをご覧ください。

 

注釈

1)びまん性軸索損傷(Diffuse Axonal Injury=DAI)
頭部外傷のうち、受傷直後から6時間を超えた意識消失がある場合を、臨床的にびまん性軸索損傷と定義し、大脳白質内部に張り巡らされた神経コードの広範囲な断線が推定され、画像上確認できない。脳室の拡大や脳全体の萎縮により推認する。

2)JCS(ジャパン・コーマ・スケール) 意識障害の日本版基準
覚醒状態大きく3段階に区切り、意識状態を数値化します。
1桁:刺激なしで覚醒している状態 2桁:刺激すると覚醒 3桁:刺激をしても覚醒しない状態 桁が大きいほど(例:JCS100)重症となります。

3)GCS(グラスゴー・コーマ・スケール) 意識障害の世界版基基準
開眼、言語の応答、運動機能の3区分で点数化します。15点が満点で正常値。点数が低いほど重症となります

 

高次脳機能障害(遷延性意識障害)に特有の書類

頭部外傷後の意識障害についての所見

意識障害についての所見
この書類は、初診の病院に記入してもらうものです。

通常、交通事故により意識障害が生じた場合、救急車で救急病院へ搬送されます。

搬送された病院では、意識障害のレベルをJCSやGCSで把握してカルテに記載しています。

そこで、症状固定時にカルテに記載された意識状態を医師に依頼して、この書類に記入してもらいます。

意識障害の推移を把握することで、高次脳機能障害の要件に該当するかどうか、そのレベルがどれほどのものであるかを確認することになります。

意識障害についての所見についての書式はこちらからダウンロードいただけます。

 

神経系統の障害に関する医学的意見

神経系統の障害に関する医学的意見この書類は主治医に、症状固定時に記入してもらうものです。

まず、高次脳機能障害の要件になっている脳外傷の所見が画像上確認できるかどうか記載してもらいます。

そして、交通事故による頭部外傷により、上肢や下肢の運動機能にどのような影響があるか、体幹は維持されているかなどの記入欄もあります。

続けて、食事や着衣、トイレ、入浴、移動といった日常生活動作を被害者が自ら行うことができるか、介助が必要な場合は、その程度(声掛けで足りるのか、全面的に補助する必要があるのか)を記入してもらいます。

さらに、てんかん発作の有無や認知、情緒、行動障害のチェックリストもあります。

この書類を作成してもらう場合には、主治医の医師に、被害者の生活状況を十分に把握してもらっておく必要があります。

しかしながら、退院後にこの書類の作成をお願いする場合などは特に、退院後の状況を医師が把握しきれていないケースもあります。

したがって、次の日常生活状況報告書を活用するなどして、生活状況を知ってもらうことが重要です。

神経系統の障害に関する医学的意見の書式はこちらからダウンロードいただけます。

 

日常生活状況報告書

日常生活状況報告書この書類は、被害者の配偶者や子、同居の親族などの被害者に近い人が作成する書類です。

交通事故の前後で、被害者の生活状況がどのように変化したかを把握するために、交通事故の前の生活状況(約束を守れていたか、自立した生活が送れていたかどうか)と事故後のそれをチェック項目で数値化します。

それとともに、症状を裏付ける具体的なエピソードをスペースに記入します。

2枚目では、就労、就学の状況、転職や転校をした場合には、その理由を記載するとともに、身の回りの動作を被害者自ら行うことができるかを回答します。

この書類は、他の書類と整合性が取れているかが非常に重要になります。

当初の意識障害の程度やカルテの記載とかけ離れた報告書になっている場合、信用性がないとされてしまうこともあるため、注意が必要です。

日常生活状況報告書の書式はこちらからダウンロードいただけます。

こうした書類を被害者の方が自分たちで作成することは非常に困難です。

専門家である弁護士にご依頼いただければ、弁護士が被害者のご家族からのお話を伺うとともに、医師との調整も行い、被害者の方の症状を適切に伝えるべく、書類を作成するサポートをいたします。

作成する書類やそれぞれのポイントについては、是非弁護士にご相談ください。

 

 

眼の後遺障害

目の検査イメージ画像眼の後遺障害については、眼球の障害とまぶたの障害がそれぞれ定められています。

眼球の障害には、視力の障害、調整機能(ピント)の障害、運動障害、視野の障害があります。

また、まぶたの障害には、欠損障害運動障害があります。

 

等級一覧

目の後遺障害等級別グラフ

 

眼の主な傷病

視力障害

視力障害は主に頭部外傷による視神経損傷の場合と眼球の外傷による場合があります。後遺障害等級上の視力とは裸眼ではなく、コンタクトレンズを含む矯正視力になります。

失明とは、眼球自体を失ってしまった場合や明暗を区別できない場合、できたときしても視力は0.01未満の場合を指します。

視力障害については、オートレフによる検査やERG(電気生理学的検査)、VEP(視覚誘発電位検査)などによる客観的な他覚所見が重要です。

なぜなら、自覚症状のみで判断するとなると、視力検査において、見えているのに見えないなどという可能性が否定できないからです。

無水晶体眼(むすいしょうたいがん)

水晶体は角膜とともに光を屈折する作用を担っています。水晶体は毛様体やチン小帯によって厚みを調整しています。

無水晶体眼とは、その名のとおり、水晶体を失っている状態をいいます。

水晶体を失うことで当然に光の屈折作用を失いますので、視力の低下が引き起こされる可能性があります。

複視(ふくし)

複視とは、ものが二重や三重に見える症状で、正面視の複視の場合、両目で見ると強い頭痛やめまいを生じます。

正面視の複視の場合は10級2号、それ以外の複視の場合は13級2号に該当します。

複視については、ヘスコオルジメーターで検査します。

視神経管骨折(ししんけいかんこっせつ)

眉毛の外側部を強打することにより視神経管が損傷することで生じます。

この傷病による症状としては、受傷直後から視力低下や視野障害といったものが挙げられます。

滑車神経麻痺(かっしゃしんけいまひ)

眼を内側(鼻側)の下側に動かす場合、上斜筋という筋肉が働いています。

この上斜筋を動かしている神経が滑車神経です。

この部分にまひが生じることを滑車神経麻痺といいます。

当該傷病は、上斜筋の働きが悪化するので、上下方向にズレが生じ複視を生じる可能性があり、13級2号に該当する可能性があります。

眼を動かす神経は、滑車神経の他に外転神経、動眼神経があります。

 

 

鼻の後遺障害

鼻のイメージ画像鼻の障害については、後遺障害等級表上、欠損障害が定められています。

欠損障害が生じない場合について、等級表に定めはありませんが、鼻がつかさどっている嗅覚の障害が生じる場合には、後遺障害が認定されるケースもあります。

等級一覧

鼻の後遺障害等級別グラフ

 

鼻の構造

鼻は呼吸、嗅覚をつかさどる器官で、鼻は外鼻と鼻腔に分類されます。

鼻腔は、空気を吸い込む際に、鼻毛や鼻腔内を覆う粘膜により埃の侵入を防ぐ役割を担っています。

鼻腔の上部に嗅覚を担う嗅球や嗅神経が存在しています。

 

鼻の主な傷病

鼻の欠損

鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残す場合、9級5号に該当します。

ここでいう鼻の欠損とは、鼻軟骨部の全部もしくは大部分を失うことをさし、著しい機能障害とは、嗅覚を失ったり、鼻呼吸ができなくなったりすることを意味します。

嗅覚脱失

嗅覚のイメージイラスト鼻は、物のにおいを識別する嗅覚を担っています。

後遺障害認定等級表の中には、嗅覚に関する障害について、明確に規定があるわけではありません。

しかし、嗅覚を完全に失った場合には、12級相当として後遺障害が認定されています。

嗅覚の検査は、T&Tオルファクトメーターで検査され、その結果がオルファトグラムにより表示されます。

認知閾値の平均嗅力喪失値で5.6以上であれば嗅覚脱失、2.6以上5.5以下であれば、嗅覚の減退と判断されます。

嗅覚の減退と判断されれば、14級相当と認定されることになります。

また、嗅覚検査は、T&Tオルファクトメータの他にアリナミン静脈注射による検査でも判定することがあります。

 

 

耳の後遺障害

耳のイメージ画像耳の後遺障害については、聴覚障害耳介の欠損障害がそれぞれ定められています。

また耳漏(膿が耳の外に流れ出てくる状態)や耳鳴りについては、後遺障害等級表には定められていませんが、症状によっては、後遺障害等級の認定がなされることもありますので、お困りの方はご相談ください。

 

等級一覧

耳の後遺障害等級別グラフ

耳の構造

耳は大きく外耳、中耳、内耳、の3つの部分に分類することができます。

音は外耳を通って鼓膜を振動させ、鼓膜の振動を中耳から内耳内の蝸牛内部にあるリンパ液に伝えます。

ここで液体振動に変わり、蝸牛奥のラセン器官を刺激し、脳へと伝達されます。

 

耳の主な傷病

聴覚障害(難聴)

聴力の判定は、オージオメーターと呼ばれる機器を使用して検査を行います。

検査は、気導聴力検査と骨導聴力検査の2種類があります。

検査は有意差がないと判断する必要性があるため、後遺障害認定に当たっては、1回ではなく、複数回行う必要があります。

また、音が聞こえても、何を話しているのか聞き取ることができるかも問題となります。

この検査は、スピーチオージオメーターを使用して語音聴取閾値検査と語音弁別検査を行って判定します。

耳介の欠損

耳殻の2分の1以上を失った場合には、12級4号が認定されます。

仮に、両耳ということになれば、両者が併合され、併合11級となる可能性が出てきます。

また、失った部分が2分の1に満たない場合でも、外部醜状として、別の認定基準(12級14号)に該当する可能性はあります。

耳鳴り

耳鳴りとは、どこからも音が聞こえないにもかかわらず、耳や頭蓋骨内で音を感じる状況です。

耳鳴りの検査は、ピッチ・マウス検査やラウドネス・バランス検査により行います。

この検査により、耳鳴りが他覚的にも判断可能で、常時耳鳴りを生じる場合には、14級相当として後遺障害認定がなされます。

また、症状が著しいものについては、12級相当と判断される可能性があります。

 

 

口の後遺障害

口のイメージ画像口の後遺障害については、等級表上、咀嚼(そしゃく)、言語機能障害、歯牙障害が定められています。

 

等級一覧

口の後遺障害等級別グラフ

口の主な障害

咀嚼の機能障害

咀嚼とは噛み砕くことをいいます。

不正なかみ合わせや、筋肉の異常、顎関節の障害、開口障害(正常値は男性55mm、女性45mm)、歯牙損傷等が原因となります。

下顎骨骨折を生じると、上あごとのバランスが崩れたり、関節痛が起こることがあり、咀嚼に影響を及ぼすことがあります。

咀嚼の機能障害については、後述する言語障害とあわせて1級から10級までの後遺障害認定等級があります。

基準としては、スープといった流動食以外に食べれるものがないかどうか、おかゆやうどんといったやわらかいもの以外に食べられるものはあるか、たくあんやピーナッツといった一定の固さをもつ食べ物を食べることができるかどうかという3段階が挙げられます。

言語の機能障害

言語には、「あ、い、う、え、お」という母音と子音とに大きく分けられます。子音はさらに以下の4つの種類があります。

1. 口唇音(ま、ぱ、ば、わ行、ふ)
2. 歯舌音(な、た、だ、ら、さ、ざ行、しゅ、じゅ、し)
3. 口蓋音(か、が、や行、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)
4. 咽頭音(は行)

これらの音を発声するのができなくなった場合に、機能障害が発生したと判断されます。

出せなくなった音の数に応じて、等級が異なります。

嚥下障害(えんげしょうがい)

嚥下障害とは、食べ物を飲み下すことができない状態を指します。

食道の狭窄や舌の異常を原因とします。また、頭部外傷による高次機能障害により咽喉支配神経が麻痺した場合にも起こりえます。

このような嚥下障害については、咀嚼の機能障害の程度を準用して等級が認定されます。

味覚喪失

味覚(甘味、塩味、酸味、苦味)は舌がつかさどっています。

舌の裂傷や欠損により、味覚を喪失すれば、嗅覚などと同様に12級ないし14級相当として後遺障害が認定される可能性があります。

 

 

頭部・顔面・頸部の後遺障害

外貌醜状とは

腕や足のイメージ画像まず、「外貌」とは、頭部や顔面部、頸部といった上肢及び下肢以外の露出している部分をいいます。

「醜状」とは、人目につく跡をいい、線状痕、欠損、ケロイド、血腫や色素沈着などの種類があります。

こうした醜状の治療は主に形成外科にて行われます。

 

 

外貌醜状についての等級一覧

平成22年5月27日に出された京都地方裁判所の判決により、それまで男女によって、等級に差があった点が是正されました。

外貌醜状の後遺障害等級別グラフ

7級の著しい醜状は、原則として以下のものをさします。

①頭部にあっては、手のひら大以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大の欠損
②顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円硬貨大以上の組織陥没
③頸部にあっては、手のひら大以上の瘢痕

また、9級の相当程度の醜状とは、原則として5㎝以上線状痕を残すものが該当するとされています。

 

外貌醜状を生じる主なケース

外貌醜状は、事故の際、顔面を強打することによる、顔面打撲、挫創あるいは骨折による陥没や頭部打撲などが原因で生じます。

また、地面でひきずった場合、擦過傷が形成されますが、これが線状痕を生じる可能性があります。

 

その他の体幹骨骨折による後遺障害

その他体幹骨とは

その他体幹骨とは、鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨を指します。

鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨を骨折したことにより、著しい変形を残した場合には、12級5号に該当します。

 

その他の体幹骨骨折による後遺障害についての等級一覧

体幹の後遺障害等級別グラフ

ここでいう、「著しい変形」とは、裸体になったときに変形が明らかにわかる程度のものをいうとされています。

この定義からすれば、レントゲン写真などによってはじめてわかるものは著しい変形とはいえないということになり、非該当となるのが原則です。

その他体幹骨骨折においては、労働能力喪失率が争点となることが多くなります。

すなわち、等級表上は14%の労働能力喪失率が定められていますが、等級表どおりの喪失率が認められるかという問題です。

この点については、裁判例も分かれており、個別具体的な判断がなされていますので、まずは専門家に相談すべきです。

なお、鎖骨と肩甲骨は左右でそれぞれ分かれているので、左右別々の骨として取り扱われます。

他方、肋骨については、第1肋骨から第12肋骨まで左右対になって構成されていますが、後遺障害等級上は肋骨全体を一括して判断することになっています。

したがって、肋骨においては、変形した本数が2本以上あっても、1つの後遺障害として認定されます。

仮に、その他体幹骨の2か所以上に、著しい変形が認められる場合には、自賠法施行令別表第2備考6の適用をして11級となります。

また、女性の場合、骨盤は産道として機能するため、適切な産道が維持されているか、骨盤骨折により、自然分娩に影響を与えないかを確認しておく必要があります。婦人科を受診してください。

仮に、自然分娩ができないということになれば、慰謝料の増額といった余地も出てきます。

 

上肢(肩・肘・手首・手指)の後遺障害

肩腱板断裂(腱板損傷)

腱板とは、肩の関節の安定性を保つ筋肉と腱の複合体のことをいいます。

棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)の4つの筋肉で構成されています。

肩腱板断裂の特徴、症状

腱板断裂は、加齢や野球などボールを投げるスポーツによっても生じますが、交通事故では、自転車やバイクで肩から落ちて転倒したり、衝突の際に肩を強くハンドルにぶつけたりすることで生じます。

腱板断裂はその程度により、完全断裂と不全断裂の2つに大きく分けられます。

先ほどの4つの筋肉の腱のうち、棘上筋が一番損傷を受けやすい部分です。

この筋肉は、肩の外転=腕を外側から耳の横まで上げる動作に使用しているため、この腱板を損傷すると、肩が挙がらなくなるといった症状が生じます。

腱板腱板(上)

また、運動痛はもちろん、安静にしている際も痛みを伴い、夜間寝ている際に痛みが生じるといった症状も特徴です。そのため、痛みで夜眠れないといったことも起こります。

腱板損傷、断裂の診断は、肩を挙げられるかどうか、肩を挙げた際に肩峰の下で軋轢音が鳴るかどうかといった点をチェックします。

その上で、レントゲンやMRIといった画像で損傷や断裂の診断をします。

 

治療と後遺障害

腱板断裂の治療法は保存療法と手術療法です。

保存療法では、非ステロイド性の抗炎症剤の服用やヒアルロン酸の注射を行ったり、ストレッチなどの運動療法がなされます。

保存療法により、3か月から6か月ほどで7割ほどの方は症状が軽くなるとされています。

断裂の程度がひどい場合には手術を選択します。近年では、関節鏡視下での手術を行うケースが増えてきています。

手術では、肩峰下を切除して骨と腱板が衝突するのを防ぐものや腱板を修復するものがあります。

肩が挙がらないなどの可動域制限が残存する場合には、後遺障害に該当する可能性がありますので、早めに弁護士に相談すべきです。

 

舟状骨骨折

舟状骨手の関節は、親指側の橈骨と小指側の尺骨という肘から伸びる2つの骨と8つの小さな骨とで構成されています。舟状骨は、その8つの骨のうち、橈骨の上に位置する骨です。

交通事故で転倒し、手をついた際にこの骨が骨折することがあります。親指の付け根が痛む場合は、舟状骨が骨折している可能性があります。

なお、舟状骨は親指側にあるという構造上、他の骨に比べて傾いて位置しています。

そのため、レントゲンでは骨折しているか判断できない場合があります。この場合は、CT検査やMRIが有用です。

 

治療と後遺障害

基本的には患部を固定して保存療法が選択されます。舟状骨は血液の流れが比較的悪い部分のため、骨がくっつくのが遅くなります。

そのため、2か月近くは固定が必要となります。

骨のズレが大きい場合には、手術により骨の位置を調整し、スクリュー(金属)で固定します。

骨の癒合(骨がくっつくこと)がうまくいかなかった場合には、偽関節を残してしまい、可動域制限が生じるおそれがあります。

この場合、制限される可動域の範囲に応じて、後遺障害認定されることになります。症状固定時には可動域検査を適切に行うことが重要です。

 

TFCC損傷

TFCCTFCCとは、親指側の橈骨、小指側の尺骨と8つの骨からなる手根骨の間に位置するもので、三角繊維軟骨複合体といいます。

骨ではなく、関節円板や靭帯、半月板に類似した軟部組織で構成されています。

このTFCCは、手首の外側の衝撃を吸収するクッションの役割をしています。

交通事故で、手をついてひねった際に、この部分を損傷することがあります。

TFCC損傷の主な症状としては、手首を動かした際に、小指側で痛みが生じたり、手首を外側(小指側)にひねったときにクリック音がなったりします。

TFCCは骨ではなく、軟部組織のため、レントゲンで判断することはできません。

そのため、MRIを用いて診断するのが一般的です。MRIの他には、関節鏡を用いて、損傷の有無を確認します。

 

治療と後遺障害

治療のイメージ画像損傷の程度が軽ければ、ギプスやサポーターで患部を支え、保存療法により経過観察をしますが、断裂の場合など症状が重ければ、関節鏡下で手術を行います。

痛みが継続する場合には、手関節の機能障害として、10級10号や12級6号に該当する可能性があります。

 

 

 

その他、上腕骨骨幹部骨折など上肢(肩・肘・手首・手指)の後遺症については、こちらをご覧ください。

 

 

むちうち(頸椎捻挫、腰椎捻挫)の後遺症

むちうちとは

交通事故にあうと首から肩が痛くなったり、腰が痛くなったりします。

特に、追突事故の場合には、後ろから不意打ちで衝撃が加わります。

そのため、後ろからの衝撃で、被害者の首が前後に揺れます。

このことが原因で、首や肩が痛くなるという症状が出ます。

こうした症状がむちうちの典型です。

むちうちは、病院に行ってレントゲン検査をしても骨に異常がないため(骨が折れていれば、骨折となります。)、頚椎捻挫、頸部挫傷、外傷性頚部症候群といった診断名が診断書に記載されます。

端的にむちうち症候群と記載をする医師もいます。

また、むちうちになると、首や肩の痛みだけでなく、頭痛やめまいといった症状や手先がしびれるといった症状が出ることもあります。

首の周辺には、神経が通っているため、交通事故の影響で神経にも影響がでることがあるのです。

このように、一口にむちうちといっても、被害者の方に生じる症状は千差万別です。

しかしながら、レントゲンやCTでは異常がみられないことが多いため、医師や保険会社にもなかなか被害者の方の症状が正確に伝わりにくいという難しさがあります。

むちうちの後遺症で後遺障害が認定された事例はこちらをご覧ください。

 

むちうちの種類

むちうちと一口にいっても、実はいくつか分類があるといわれています。

土屋医師が発表したことから土屋分類と呼ばれています。

土屋医師がこの発表をされたのは40年以上前ですが、現在でも参考にされています。

頸椎捻挫型

この類型では、筋の伸張が原因で、運動制限や運動痛が生じるというのが特徴です。

神経症状は生じないと考えられており、治療経過も良好で痛みがほとんど残らないとされています。

頸椎捻挫型では、後遺障害が生じることはまれといってよいでしょう。

根症状型

この類型は、頸椎捻挫型と異なり、神経根の症状が生じます。

そのため、知覚障害や放散痛、反射の異常や筋力の低下を伴うことがあります。

根症状型は、こうした神経症状を伴いますので、治療してもしびれがとれないという方が出てきます。

この場合、自賠責による後遺障害に該当する可能性があります(主に14級)。

専門的な話になりますが、頸部には神経根があり、そこから腕や手などの末端に神経がつながっています。

つまり、それぞれの神経が支配している領域が存在するということです。

したがって、理屈だけでいけば、しびれが生じている部分がどこかによって、どこの神経根に異常を来しているかがわかるということになります。

むちうちで後遺障害を認定されるに当たって、腱の反射検査が重要な判断材料とされているのは、こうした理由があるのです。

バレ・リュー症状型

交通事故に遭ってから頭痛やめまい、吐き気の症状が出ている方もいらっしゃると思います。

これは、自律神経(主に交感神経)に異常を来していることが原因としておこる各主症状です。

場合によっては、上述の神経根の症状と一緒に生じることもあり、土屋分類では混合型として分類されています。

 

 

むちうちの検査、診断

むちうちの診断にあたっては、神経学的な所見から適切な検査を受ける必要があります。

スパーリングテスト

脊髄から枝分かれした頸髄神経は左右に8本あり、この神経が上肢を支配しています。

スパーリングテストは、神経根の障害を調べるテストです。

すなわち、頭を傾けて後方に押し付けたときに、神経根の出口が狭められることにより、神経根の支配領域に放散痛や痺れが生じるかどうかを判断するものです。

このテストで+になった場合には、神経根に障害があると判断する一つの事情となります。

 

徒手筋力検査

神経障害の場合、その神経が支配している筋力が低下します。

頸髄神経は上肢(肩、腕、手)を支配していますが、三角筋、上腕二頭筋はC5C6が、上腕三頭筋はC6ないしC8が支配しています。

検査結果は0から5の6段階で評価され、5が正常となります。

 

筋委縮検査

神経の痺れ、麻痺が続くと筋肉は萎縮して小さくなります。

筋委縮検査は、筋の周径を図り、萎縮の程度を検査する検査です。

 

深部腱反射

この検査は、ゴムハンマーで腱を叩き、筋肉に刺激を与えたときにおこる筋収縮の反応をみるものです。

神経根に異常がある場合には、反射が低下ないし消失してしまいます。

したがって、腱反射が低下している場合には、神経障害があると判断でき、むちうちを医学的に説明できる可能性が高まります。

検査を適切に受け、適切な後遺障害を認定してもらう

こうした検査を適切に受けることで、むちうちによる神経障害で適切な後遺障害を認定してもらわなければなりません。

そのためには、事故直後から交通事故に精通した弁護士に相談し、サポートを受ける必要があります。

 

むちうちと後遺障害

このようにむちうちによる症状はその内容や程度が被害者に応じて異なるもので、中には、一定期間治療を継続したにもかかわらず、首の痛みやしびれが改善されないということもありえます。

これがいわゆるむちうちの後遺症です。

しかしながら、被害者の方に生じたむちうちの後遺症がすべて保険会社に補償してもらえるわけではありません。

交通事故の賠償において、後遺症を補償してもらうためには、原則として、自賠責保険の後遺障害の認定を受けなければならないからです。

そこで、むちうちによる後遺症が後遺障害として認められることがあるのかという問題が生じます。

この点、むちうちによる後遺症も後遺障害として認定される可能性はあります。

交通事故でむちうちになった方が知っておくべきポイントはこちらをご覧ください。

後遺障害と認定されるには?

将来においても回復が見込めない症状であることを医学的に証明できる場合には、神経系統の機能または精神障害として、後遺障害とされます。

ポイントは、「医学的に証明できる場合」ということです。

具体的には、後遺障害12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」というものと14級9号の「局部に神経症状を残すもの」という後遺障害が認定される可能性があります。

むちうちの後遺障害等級別グラフ

なお、頸部を脱臼・骨折や頸髄損傷を伴う場合には、神経系統の機能または精神、脊髄の障害、脊柱及びその他体感骨の障害として、別途後遺障害等級の認定がなされます。

 

12級13号と14級9号の違い

12級13号と14級9号の違いは、後遺障害の基準の文言上は「頑固な」というのが入っているかどうかの違いです。

この「頑固な」という部分をどのように判断しているかというと、むちうちによる後遺症が医学的に証明できているといえるかという基準で判断しています。

画像の所見と症状との整合性

MRI画像具体的には、むちうちがレントゲンやCTでは異常がみられないことが多いといっても、MRI画像で神経を圧迫していることが明らかに確認でき、その圧迫している部分に関係する部分がしびれているというように画像の所見と症状との整合性が取れていて、また、その他の検査で異常がみられている場合に、12級13号が認定されることがあります。

検査の所見で異常がみられるかどうか

むちうちに関する主な検査では、スパーリングテストやジャクソンテストといった神経誘発テスト、深部腱反射検査や筋萎縮検査の所見で異常があることが、12級13号の後遺障害が認められるかどうかの重要なポイントとなってきます。

なお、むちうちの後遺障害として認定される後遺障害のほとんどは14級9号の方で12級13号が認められるケースは少ないのが現状です。

むちうちで後遺障害の申請をする場合、MRI検査は受けるべきかについては、こちらからどうぞ。

 

後遺障害の認定に当たって考慮される事情

むちうちの後遺障害の認定に当たって考慮される主な事情としては、以下のものが挙げられます。

事故の程度

追突事故まず、交通事故がどの程度のものであったのかという点が考慮事情となります。

すなわち、事故が玉突き事故なのか、交差点での出会い頭の衝突でエアバックが出るようなものだったかどうか、車に乗っていた際の事故なのか、それとも歩行者で車にぶつけられたのかといった点です。

この点に関しては、車の修理代の額や損傷状況のわかる写真などが事故の程度を証明する資料となります。

 

通院状況、治療内容

医師の説明次に、交通事故にあってから症状固定に至るまでの通院状況も考慮されます。

具体的には、交通事故にあってから最初に病院に行ったのはいつか、転院をしたりしているかどうか、通院の回数といった事情です。

また、通院の回数に加えて、実際に通院した際にどのような治療をしているかどうか、薬を処方されているかどうか、処方されている場合にはどのような薬が処方されているかといった治療の内容についても後遺障害の認定にあたって考慮されます。

証明資料としては、診断書や診療報酬明細書、調剤明細書になります。

 

症状の程度、推移

カレンダーのイラストさらに、被害者の方のむちうちによる症状がどのようなものであったかという点も当然考慮されることになります。

具体的な症状は病院が作成する診断書の記載から判断されます。

また、事故の当初から症状固定に至るまでの間にその症状がどのように推移しているかといった事情も考慮されます。

これは毎月作成される診断書の記載内容がどのように変化しているかを確認することで判断されています。

 

症状の今後の見通し

説明する男性のイラスト症状固定に至った時点で、被害者の方に残っている後遺症が今後どのように経過していくと見込まれるかという点も考慮事情となっています。

この点は、医師が作成する後遺障害診断書に、今後の見通しについて記載する部分があり、ここにどのように記載がなされているかをチェックすることになります。

様々な事情を総合的に判断

こうした事情を総合的に判断することで、被害者の方に残っているむちうちの後遺症を後遺障害として認定すべきかどうか決定されることになります。

総合的な判断になるため、何回通院すれば後遺障害が認定されるといった明確な基準はありません。

そのため、むちうちの後遺障害の認定に関しては、被害者の方が自分だけで手続を行うのは非常に負担が大きく、専門家である弁護士のサポートを受ける必要があります。

 

むちうちの後遺障害を申請するには

後遺障害診断書を作成してもらう

むちうちの後遺症が残ってしまった場合、後遺障害診断書を医師に作成してもらう必要があります。

作成してもらうタイミングは症状固定の段階で、被害者の症状ごとに異なってきますが、一般的な目安としては交通事故から半年程度治療を経過してからということになるでしょう。

症状固定とは、これ以上治療をしても症状の改善を期待することができない状態をいいます。

つまり、ある程度治療を尽くしたといえなければなりません。

後遺障害の申請のタイミングについて、詳しくはこちらをご覧ください。

診断書の作成にあたっては、被害者の方の症状をしっかりと医師に伝え、診断書に記載してもらうことが大切です。

後遺障害の判断は、後遺障害診断書の自覚症状の項目に記載されたものが対象となります。

したがって、自覚症状の欄に記載してもらえなければ、その症状は後遺障害の審査対象とはなりません。

また、先ほど解説したとおり、今後の症状の見通しについても記載してもらうことになりますが、ここで「軽減する」、「治るであろう」というような記載があると後遺障害として認められる可能性は低くなってきますので、診断書に記載してもらう内容にも注意を払う必要があります。

事前認定か被害者請求かを選択する

医師に後遺障害診断書を作成してもらえたら、後遺障害の認定手続きへと移っていきます。

この認定手続きには相手方の保険会社に手続きを委ねる事前認定と被害者側で手続きを進める被害者請求という2つの方法があります。

事前認定と被害者請求の手続きについて詳しくはこちらをご覧ください。

むちうちの後遺症は被害者の方にとって、非常に辛いものです。

むちうちは、骨折などと違い、客観的に明らかな病気ではありません。

つまり、自覚症状が中心の傷病です。

しかし、だからといって後遺障害が認定されないということではありません。

矛盾するようですが、いかに自覚症状を第三者に認識してもらえるかというのが大切です。

そのために、毎月保険会社に提出する診断書や治療経過を適切に記載してもらうこと、検査を受け、その結果を後遺障害診断書に記載する必要があります。

こうした後遺症を適切に後遺障害として認定してもらうことが、適切な補償を受けるために必要になってきます。

むちうちでお困りの方は、専門家である弁護士に相談することも必要になってきます。

 

 

CRPS(RSD)の後遺障害

CRPSとは

CRPSとは、Complex regional pain syndromeの略語で複合性局所疼痛症候群といいます。

CRPSは2つのタイプに分類されます。

一つがRSD(反射性交感神経性ジストロフィー)と呼ばれるもので(TypeⅠ)、もう一つがカウザルギー(TypeⅡ)です。

抹消神経の損傷がない場合がRSDに分類され、抹消神経に損傷があるものがカウザルギーと分類されています。

このCRPS、特にRSDの特徴は、軽微な外傷の場合でも症状が出現する場合があるという点です。

これは交感神経の異常に基づいて出現する症状という点に由来しています。

当初の外傷が軽微であっても交感神経の緊張により、神経伝達物質などは多く放出されます。

通常であれば一定時間の経過により交感神経は正常に戻るのですが、正常に戻らない場合、交感神経は緊張状態を継続するため、神経伝達物質が不必要に多く分泌されてしまい負傷部分に異常をきたします。

こうした状態に陥るメカニズムは、具体的には解明されていません。

 

CRPSの症状

交通事故により受傷した部位はもちろん、それ以外の部位にもズキズキとした痛み、灼熱痛が主な症状です。

被害者の方は、「ナイフのような鋭いもので刺されたような痛み」があるとおっしゃいます。

また、皮膚温や色調の変化や発汗異常も生じます。さらに、骨萎縮や関節拘縮も発生します。

カウザルギーの場合は、神経損傷を伴うため感覚低下の症状もあります。

RSDの症状は、急性期(1~3カ月)、亜急性期(3~12カ月)、慢性期(12カ月~2年)に分けられます。

急性期では、灼熱痛が生じ痛みが増強します。皮膚変化もあり、皮膚が腫れあがる症状が出ることがあります。

亜急性期では、痛みがさらに増し、痛みの範囲も広がります。

また、皮膚が委縮し、関節の拘縮も生じるようになります。

慢性期では、関節拘縮や皮膚委縮が進み、関節の動きが大きく制限されるようになります。

通常の外傷の場合、外傷を負った日(交通事故発生日)が症状としては最も悪く、時間の経過につれて徐々に症状が軽減していきます。

しかし、RSDにおいては、徐々に症状が増悪していくという特徴があります。

 

CRPSと後遺障害

CRPSの場合に認定される可能性のある後遺障害等級は下表のとおりです。

後遺障害等級 後遺障害慰謝料(裁判基準)
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 1000万円
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 690万円
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円

弁護士西村裕一交通事故により、CRPSを発症した場合には、上記の項目に該当するかが問題となります。

場合によっては、局部に神経症状を残すものとして、14級9号の認定がなされるケースもあります。

RSDで、後遺障害12級13号の認定を受けた弊所の解決事例については、こちらをご覧ください。

 

CRPSの後遺障害等級認定のポイント

CRPSについては、症状を他覚的に証明することができるかという点が非常に重要になります。

まず、RSDについては、①関節拘縮、②骨萎縮、③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)

という慢性的な主要な3つの全ての症状が腱側(異常のない健康な部分)と比べて明らかに認められなければならないとされています。

また、カウザルギーについては、分類の観点から明らかなとおり、神経損傷が認められる必要があります。

その上で、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間及び日内変動やその他の他覚的所見により、等級認定を行います。

その際、疼痛により労務や日常生活にどの程度の支障を来たすかによって上記のうち、どの等級に該当するかを決定しています。

本来、痛み=疼痛というのは、被害者の方にしかわからない、自覚症状が中心の症状であり、それをいかに裏付けられるかというのがCRPSの等級認定を考える上でポイントになってきます。

 

素因減額の主張

後遺障害としてRSDに認定された場合、加害者側からは、素因減額の主張がなされる可能性があります。

素因減額とは、事故当時、すでに被害者が、損害が発生・拡大する要因(既往症や身体的特徴、心因的な要素)を持っており、実際にそれが原因で損害が発生・拡大したときには、一定の割合について賠償額を減額することです。

素因減額について詳しくはこちらをご覧ください。

RSDにおいて、素因減額が主張されるのは、同じような外傷を負った人の全てが発症するわけではなく、また、発症に心因的要素が関わっているとも考えられるからです。

 

 

脊髄損傷の後遺障害

脊髄損傷とは

脊髄とは、脳と体をつなぐ中枢神経をいいます。

この部分に損傷が生じることを脊髄損傷といいます。

脊髄は脊椎によって保護される構造となっていますが、交通事故や高所からの転落などにより脊椎を骨折、脱臼すると脊髄も損傷を受けることが多くあります。

脊椎は、頭部に近いところから頸椎、胸椎、腰椎、仙椎から構成されており、損傷した部位によって症状が出る部分は変わります。

 

脊髄損傷の症状

局所症状

損傷した脊髄の局所に痛みや変形、可動域制限といった症状が生じます。

麻痺

麻痺には完全麻痺と不完全麻痺があります。

完全麻痺では、損傷した部分より下の部分の運動や知覚が失われます。

他方、不完全麻痺では、損傷の程度により軽症から知覚だけ残存した状態という重症まで様々です。

頸髄損傷の場合には、頸部より下の部分、すなわち四肢(両上肢、下肢)の麻痺が、胸腰髄損傷では両下肢の麻痺となるのが通常です。

その他

その他には、循環器系の障害や呼吸障害といった症状が生じます。

 

等級一覧

脊髄損傷の後遺障害の等級は以下のとおりです。

脊髄損傷の後遺障害等級別グラフ

 

脊髄損傷の認定基準

脊髄損傷の後遺障害認定に当たっては、高次脳機能障害と同様に原則として労災保険の基準に準じて行われます。その基準は、以下のとおりです。

等級 後遺障害の内容 該当症状
別表1
1級1号
1神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 脊髄症状のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
具体例
①高度の四肢麻痺が認められるもの
②高度の対麻痺が認められるもの
③中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
④中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
別表1
2級1号
1神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 脊髄症状のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの
具体例
①中等度の四肢麻痺が認められるもの
②軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
③中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
別表2
3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 生命維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、脊髄症状のために労務に服することができないもの
具体例
①軽度の四肢麻痺が認められるもの
②中等度の対麻痺が認められるもの
(いずれも上位の基準に該当するものを除く)
別表第2
5級2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 脊髄症状のため、きわめて軽易な労務以外には服することができないもの
具体例
①軽度の対麻痺が認められるもの
②一下肢の高度の単麻痺が認められるもの
別表第2
7級4号
神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 脊髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの
具体例
①一下肢の中等度の単麻痺が認められるもの
別表第2
9級10号
神経系統の機能または精神に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの 通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
具体例
①一下肢の軽度の単麻痺が認められるもの
別表第2
12級13号
局部に頑固な神経症状を残すもの 運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すものが該当する。また、運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるものも該当する。

この表からわかるとおり、脊髄損傷の後遺障害認定に当たっては、麻痺の範囲と程度が重要な考慮要素になっています。

麻痺の程度は、症状のひどいものから、高度、中等度、軽度に分類されます。

 

程度 内容 具体例
高度 障害のある上肢又は下肢の運動性、支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては、物を持ち上げて移動させること)ができない ①完全硬直又はこれに近いもの
②上肢においては三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることはできないもの又はこれに近い状態
③下肢においては、三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態
④上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
⑤下肢においては、随意運動の顕著な障害により一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの
中等度 障害のある上肢又は下肢の運動性、支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるもの ①上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(おおむね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの
②下肢においては、障害を残した一下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため有するため杖若しくは硬性装具なしには歩行が困難であること
軽度 障害のある上肢又は下肢の運動性、支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているもの ①上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの
②下肢においては、日常生活はおおむね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性道具なしには階段を上ることができないもの

 

 

下肢(股関節・膝・足指)の後遺障害

下肢とは

下肢は、股関節、膝関節、足関節の3つの関節で構成されています。

股関節から膝関節までを大腿骨という1つの長管骨が繋いでいます。

膝関節から足関節までは、脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)の2本の骨が通っています。

下肢の後遺障害も上肢と同じく、骨折や脱臼、神経麻痺によって生じます。

下肢の後遺障害は、大きく分けて以下の3つに分類できます。

欠損障害

下肢の一定部分を失うこと

機能障害

関節の動きが悪化し、可動域制限などの機能不全が生じること

変形障害

骨折した部分が正常に接続していないこと

 

等級一覧

下肢について、後遺障害認定基準では以下のものが規定されています。

下肢の後遺障害等級別グラフ

 

下肢(股関節・膝・足指)の主な傷病

基本的には保存療法を選択し、痛みが生じる体勢をとらないように気をつけますが、ケースによっては、手術を行います。

股関節唇の断裂した部分をつなぎ合わせる縫合手術や損傷した部分を取り除く切除手術があります。

骨を削って、寛骨と大腿骨の距離を一定間隔で保つようにする骨切り術が選択されるケースもあります。

関節の可動域制限が生じていれば、12級7号の「下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」に該当する可能性があります。

屈曲・伸展、内転・外転、内旋・外旋の3つの軸方向の可動域を検査する必要があります。

股関節唇損傷

股関節唇股関節は、寛骨と大腿骨の2つの骨で構成されています。

大腿骨の先端は、球状になっており、屈曲・伸展、内転・外転、内旋・外旋の3つの軸方向に動く関節です。

股関節唇とは、寛骨臼窩と呼ばれる部分の周りに存在する繊維軟骨のことです。

この部分を損傷すると、股関節の引っかかった感じを受けたり、関節がずれたりする症状が生じます。

関節にはいわゆる遊びの部分がありますが、交通事故に遭った際、転倒しないように強く踏ん張ったりすると、大腿骨が寛骨側(体の内側)に引っ張られ、つまってしまうことで遊びがなくなってしまいます。

このとき、股関節唇を損傷する可能性があります。

骨盤骨折(恥骨骨折、坐骨骨折等)

骨盤は左右の恥骨、坐骨、腸骨と仙骨から構成されています。骨盤輪の中には直腸や肛門、膀胱といった内臓があり、女性の場合には、子宮や卵巣など重要な器官がこの位置にあります。

したがって、骨盤骨折の場合、骨折による痛みや下肢の運動障害はもちろん、臓器の損傷にも気をつけなければなりません。内腸骨動脈損傷による出血性ショックには特に注意が必要で、最悪の場合死亡するケースもあります。

骨盤骨折はレントゲンで判断可能ですが、仙骨や仙腸関節の離解はCTで確認することもあります。

股関節脱臼・骨折

自動車に乗車中に事故に遭うと、ダッシュボードに膝を打ち付けることで、大腿骨が後方にずれ、股関節の脱臼を生じることがあります。

脱臼に骨折も伴っている場合、骨片が坐骨神経を圧迫し、坐骨神経麻痺を併発することもあります。

関節の脱臼により、脱臼部分の痛みや腫れ、可動域制限が発生しますが、関節の機能制限として12級7号に該当する可能性があります。

大腿骨頭壊死(だいたいこつとうえし)

大腿骨頭は3本の血管により栄養を受けていますが、上に述べた脱臼によりこの血管を損傷すると大腿骨頭に必要な栄養が送られずに壊死してしまいます。

これを防ぐためには、24時間以内に整復し、位置を戻す必要があります。

処置が遅れると、壊死した骨頭を切断し、人工骨頭を埋め込むことになります。

後遺障害との関係では、10級11号に該当する場合があります。

変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)

変形性股関節症とは、股関節を構成している臼蓋(きゅうがい)と大腿骨頭の接触面の軟骨がすり減るなどして変形した状態を言います。

交通事故との関係では、事故により血流が悪くなった場合に、生じる可能性があります。

大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)

大腿骨の頸部とは、骨頭に続く部分で内側は股関節の内部にあります。

この部分は、この部分は血行が不良などの理由から治療が難しいとされています。

痛みはもちろん、股関節の可動域制限を生じるケースが多く、関節の機能制限として12級7号に該当する可能性があります。

大腿骨転子部骨折(だいたいこつてんしぶこっせつ)

転子部とは、頸部に引き続く部分で頸部の内側に比べると血流も多い部分なので、骨癒合も多くのケースでは早く進みます。

大腿骨骨幹部(だいたいこつこつかんぶこっせつ)

骨幹部とは、大腿骨の中央部分に該当する部分をさします。この部分の骨折は交通事故の際には、多く生じます。

治療法としては、キルシュナー髄内釘やAOプレートを使用して固定します。

この部分の骨折では、転位が大きく、骨癒合がうまくできずに偽関節を残すことがあります。その場合には、8級9号が認定されることになります。

脛骨顆部骨折(けいこつかぶこっせつ)、高原骨折、プラトー骨折

脛骨とは大腿骨とつながる腓骨とともに膝から下を構成している骨で、すね(弁慶の泣き所)があるのもこの骨です。

この部分の骨折は、膝に衝撃が加わった際に発症する骨折です。

この傷病とあわせて、膝蓋骨折や膝の靭帯損傷を併発することが多いのが特徴です。レントゲンで診断可能です。

脛骨顆部は海綿状の骨なので、欠損部には骨移植が必要となります。

すでに述べたように膝関節に影響を与えますので、関節の機能障害として10級11号や12級7号が認定される可能性があります。

膝蓋骨骨折(しつがいこつこっせつ)

膝蓋骨とは膝の皿の部分のことです。交通事故の際、衝突の衝撃で膝をダッシュボードやバンパーなどにぶつけたり、飛ばされて地面に膝を強打した場合などに骨折する可能性があります。

膝関節の可動域制限を伴う骨折となることも多く、機能障害として後遺障害に該当するケースも出てきます。

半月板損傷

大腿骨と脛骨の間にあるクッションの役目をする組織を半月板といいます。

この傷病については、聞いたことのある方も多いと思います。

医学的には、細胞外線維性基質という軟骨の一種です。

この部分の損傷を確認するテストとしては、仰向けの状態で膝を曲げた上で足を動かした際にグキグキという異常音がなるかどうかというマクマレー・テストやグリンディング・テストを行います。

その他に、半月板の損傷はMRI検査が有効です。

治療法としては、温熱療法、患部へのステロイド注射、痛み止めや消炎鎮痛剤の内服といった保存療法と損傷した半月板の縫合もしくは切除という手術療法が考えられます。

手術をした場合には、縫合であれば6週間、切除であれば2週間ほどの安静が必要です。

前十字靭帯損傷(ACL損傷)

膝には、内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯の4つの靭帯があります。

内外側側副靭帯は上下の骨が左右にずれるのを防ぎ、前・後十字靭帯は前後にずれるのを防いでいます。

スポーツ選手がこの靭帯を損傷するケースがありますが、交通事故においては、バイクや自転車などの事故で多く発生しています。

断裂することが多く、その際ブチッという音がなります。

損傷については、ラックマンテストを行って判断します。

また、ストレス(圧力)をかけると、前十字靭帯が損傷している場合には脛骨が前方に飛び出ますので、それをレントゲンで撮影することで、損傷の程度を診察します。

靭帯の再建手術を受けた場合、8~12か月のリハビリが必要となります。

損傷の程度が激しく、膝関節に動揺性が認められ、常時装具の必要性があるような場合には、関節の用廃として8級7号が認定されます。

膝十字靭帯損傷について詳しくはこちらをご覧ください

内側側副靭帯損傷(MCL損傷)

内外の側副靭帯のうち、損傷が多いのは、内側の側副靭帯です。

外側からの強い圧力がかかった場合、これに耐え切れずに内側側副靭帯が切れることがあります。

サッカーやラグビーなどのスポーツで発症するケースが多いですが、交通事故でも衝突による外側からの強い衝撃が原因で発症します。

複合靭帯損傷

交通事故において、衝突の強い力が膝に集中した場合には、膝の2つ以上の靭帯を損傷することがあります。

この場合、一つの靭帯に比べて、膝は不安定になり、重度の後遺障害を生じるおそれがあります。

すなわち、膝の用廃として8級7号に該当する可能性があります。

腓骨神経麻痺(ひこつしんけいまひ)

腓骨神経は膝の外側を通り、腓骨の側面から足関節、足指まで通っています。

腓骨神経は足関節と足指の可動に影響をもっていますので、この部分に麻痺が生じると、自力で足首を曲げることができなくなり、下に垂れ下がった状態となります。

日常生活においては、靴下をうまく履けなかったり、スリッパが脱げてしまったり、正座や和式トイレの使用ができなくなったりします。

足関節の用廃と足指の用廃として後遺障害等級で7級相当とされることもあります。

距骨骨折(きょこつこっせつ)

距骨は、踵骨と脛骨の間に挟まれている骨で足首の下付近にあります。

交通事故においては、バイクから運転中の事故により転倒した際に、脛骨と踵骨に圧迫されて骨折することが多いです。

距骨を骨折してしまうと、激痛を伴い、立つこともままなりません。

当該部分の骨折は足関節の機能障害をもたらし、10級11号に該当する可能性があります。

 

後遺障害の申請方法

後遺障害の申請方法について詳しくは、こちらをご覧ください。

 

 


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