弁護士コラム

可動域検査の重要性【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   

機能障害の後遺障害

上肢(肩、肘、手)や下肢(股関節、膝、足)の後遺障害の一つである機能障害においては、可動域検査が非常に重要なものとなります。

後遺障害申請にあたっては、可動域制限がある場合には、必ず病院で測定してもらい後遺障害診断書に記載してもらう必要があります。

後遺障害診断書に可動域の記載がない場合には、そもそも、可動域について後遺障害の審査がなされません。

関節の機能障害による後遺障害等級は、以下のとおりです。

関節 可動域制限の程度 等級
肩・肘・手関節 健側の4分3以下 12級6号
健側の2分1以下 10級10号
股・膝・足関節 健側の4分3以下 12級7号
健側の2分1以下 10級11号

※「健側」とは、怪我をしていない健康な方の腕や足のことを指します。

また、1つの関節について、関節が硬直した場合(ほとんど動かなくなった場合)には、8級6号(上肢)、8級7号(下肢)が認定されます。

可動域制限により後遺障害認定を受けた弊所の解決事例はこちらをご覧ください。

 

 

可動域が問題となった裁判例

弁護士西村裕一画像こうした可動域検査が問題になった裁判例が大阪地判平成28年2月26日です。この事案では弁護士に依頼した直後に可動域検査を再度行っており、その評価が争点となっています。

事案の概要ですが、歩行中に交通事故に遭われた原告(被害者)は、脛骨、腓骨の両骨の遠位端(心臓より遠いところ)を骨折し、手術を行った上でリハビリ治療を行いました。

しかし、右足関節面に不整が残るなどしたことから、右足関節の可動域制限と疼痛が残存してしまった状態で症状固定に至っています。

そして、症状固定時に医師が測定器具を使用して可動域検査を行い、診断書を作成しました。被害者は、測定した10日後に弁護士による交通事故の相談を受け、法律相談の3日後に再度可動域検査を行いました。

この再検査で足の底屈の可動域を当初の30度から20度に修正しています。

自賠責保険は、修正された可動域を前提に、骨折した右足の可動域が左側に比べて2分の1以下に制限されているとして、10級11号の認定をしました。

ところが、裁判所は自賠責保険が認定した10級11号の認定を否定し、12級7号の認定にとどまると判断したのです。

その理由として、裁判所は、後遺障害診断書に記載された症状固定時の可動域がリハビリ途中の可動域よりも大幅に悪化していることを挙げています。

そして、先ほど説明した弁護士に相談した3日後に再検査を行い、10度悪化した数字に修正している点も挙げ、数字の信用性が認められないと判断したのです。

このように、可動域検査の測定値がリハビリ経過のものと後遺障害診断書のものが大きく違っている場合、後遺障害診断書の信用性が失われてしまう可能性が出てきます。

したがって、日頃のリハビリの段階から適切に測定してもらい、その数値をカルテやリハビリ計画書に残してもらうことが必要です。

 

 

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会  

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故 法人分野:企業顧問(労働問題)   

実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年実績)を誇るデイライ

ト法律事務所のパートナー弁護士であり、北九州オフィスの所長を務める。

交通事故をめぐる問題に関して、NHK、KBCなどのメデイアへの取材実績があ

り、弁護士向けのセミナー講師としても活動。



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