交通事故の慰謝料|相場や計算方法を弁護士が解説|最新版

執筆者:弁護士 宮崎晃 (弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士)

交通事故の慰謝料とは、交通事故により被った精神的苦痛に対する金銭賠償のことです。

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、そして死亡慰謝料の3つの種類があります。

それぞれの相場(適正額)としては、入通院慰謝料で通院1日あたり最高で約9333円、入院1日あたり最高で1万7666円、後遺障害慰謝料で110万円〜2800万円程度、そして死亡慰謝料で2000万円〜2800万円程度となります。

以下では、交通事故に精通した弁護士が、交通事故慰謝料の意味、相場や計算方法、請求する場合のポイントや相談窓口について、わかりやすく解説しています。

また、すばやくご自身の慰謝料を知りたい方は、交通事故の慰謝料の自動計算ツールも利用可能です。

最後まで読んでいただくことで、交通事故慰謝料の適正な金額を理解できるかと思いますので、是非参考になさってください。

交通事故の慰謝料とは?

交通事故の慰謝料とは、交通事故により被った精神的苦痛に対する金銭賠償のことです。

なぜ交通事故で慰謝料が請求できるの?

交通事故の被害者の方は、怪我による痛みや後遺症などで大変つらい思いをされることになります。

加害者は、被害者の方のこのような精神的な苦痛について、賠償する法律上の義務があります(民法710条)。

参考:民法|e-GOV法令検索

 

交通事故の慰謝料には3つの基準がある

慰謝料の金額は、治療期間や後遺障害の程度、被害者の立場などによってある程度基準化されています。

しかし、この慰謝料の基準には、①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士基準(裁判基準)の3つの基準があります

この3つの基準を理解しておくことは、適正な慰謝料を請求する上で重要となるため、くわしく解説します。

①自賠責基準

自賠責基準とは、自賠責保険が、賠償金を計算する場合の基準です。

自賠責保険は、強制加入の保険であり、加入せずに運転すると刑事罰が科されます(1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります)。

加害者である運転手が無保険でしかもお金がない場合には、被害者は全く補償を受けることができなくなる可能性があるため、被害者が最低限の補償を受けることができるよう自賠責保険が強制加入保険として創設されたのです。

こうした経緯で自賠責保険は創設されたので、他の2つの基準と比べて賠償金額の水準は低額になっています(最低限の補償という意味合いです)。

例えば、加害者が任意保険に加入していないような事案では、自賠責保険に対し、保険金を請求することがあります。

この場合、まずは自賠責保険から、最低限の補償を受け取り、不足する額については加害者に直接請求することになります。

加害者に支払い能力がなければ、事実上、賠償金全額を回収できないかもしれません。

しかし、自賠責保険があるおかげで、最低限の補償を受けることが可能となります。

ワンポイント:自賠責無加入の場合

自賠責保険は強制加入ですが、加害者が無加入のケースもあります。

このような無保険車のケースにおいては、政府から保障を受けることができます(自動車損害賠償保障法)。

引用元:自動車損害賠償保障法 | e-Gov法令検索

保障される金額は、自賠責保険の金額と同じです。

 

②任意保険会社基準

任意保険会社の基準は、その名のとおり、任意保険会社が内部的に定めている賠償の水準です。

各保険会社が、被害者に対して賠償の提示を行う際に使用している水準で、外部に明確には公表はされていません。

明確な賠償基準は、各社によって異なる部分はありますが、自賠責保険の基準よりは高い賠償水準になります。

被害者に対して、書面で賠償の提示が出された場合に、「弊社基準」などの記載がされることがありますが、それが任意保険会社の基準ということになります。

ただ、その内容をみると自賠責保険の基準で計算されているような場合もあります。

すなわち、保険会社から最初に提示される慰謝料は、適正な金額ではない可能性が高いため、注意が必要です。

 

③弁護士基準(裁判基準)

弁護士基準は、弁護士が交渉段階から使用する基準であり、3つの基準の中で最も高い賠償水準です。

弁護士基準は、裁判になった場合に使われる基準と同じ内容であり、裁判基準とも呼ばれています。

 

交通事故慰謝料は誰が払う?

交通事故の慰謝料は、直接的には加害者に支払い義務があります。

もっとも、ほとんどのケースでは、加害者は保険に入っています。

そのため、実際には加害者が入っている保険会社に対して請求していくこととなります。

保険会社は慰謝料をできるだけ減らそうとして、適正な金額(弁護士基準の金額)を払ってくれない傾向にあるため注意が必要です。

 

 

交通事故の慰謝料はいくら?

交通事故慰謝料の相場とは?

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、そして死亡慰謝料の3つの種類があります。

それぞれの相場(適正額)としては、入通院慰謝料で通院1日あたり最高で約9333円、入院1日あたり最高で1万7666円、後遺障害慰謝料で110万円〜2800万円程度、そして死亡慰謝料で2000万円〜2800万円程度となります。

 

交通事故慰謝料を計算機で簡単にシミュレーション!

このページでは慰謝料の正しい計算方法を詳しく解説しています。

しかし、早く結果を知りたいという方もいらっしゃるかと思います。

すぐにご自身の慰謝料の概算額を知りたいという方は、こちらのページをご覧ください。

賠償金計算シミュレーター

 

交通事故慰謝料の計算

交通事故慰謝料には3つの種類がある

交通事故の慰謝料には、①入通院慰謝料(傷害慰謝料とも言います。)、②後遺障害慰謝料、③死亡慰謝料という3つの種類があります。

交通事故の慰謝料

どの種類の慰謝料をもらえる?

被害者がもらえる慰謝料は、事故の状況によって異なります。

下表は、事故の状況別にもらえる可能性がある慰謝料を分類したものです。

事故の状況 もらえる慰謝料
怪我をした 入通院慰謝料
後遺症が残った 入通院慰謝料
後遺障害慰謝料
死亡した 死亡慰謝料
入通院慰謝料※1
物損のみ 原則なし※2

※1 入通院後に無くなった場合
※2 物損でも状況によっては慰謝料が認められることがあります
物損についてくわしくはこちら

以下、この3つの慰謝料について、具体的な内容と相場や計算方法を解説します。

①入通院慰謝料(傷害慰謝料)の早見表

上で解説したとおり、慰謝料の基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判所基準)があり、それぞれの基準によって金額が変わってきます。

以下は、自賠責基準と弁護士基準の慰謝料の早見表です。弁護士基準の方が高額であることがおわかりいただけるかと思います。

通院期間 自賠責基準 弁護士基準
骨折等の重傷の場合 むちうち等の軽傷の場合
1ヶ月 12万9000円 28万円 19万円
2ヶ月 25万8000円 52万円 36万円
3ヶ月 38万7000円 73万円 53万円
4ヶ月 51万6000円 90万円 67万円
5ヶ月 64万5000円 105万円 79万円
6ヶ月 77万4000円 116万円 89万円

※自賠責保険基準は、治療期間日数の内半分以上を通院していることを前提としています。

入通院慰謝料とは、交通事故によるケガで入院や通院を強いられたことに対する慰謝料です。

したがって、入通院慰謝料の金額は、入院期間、通院期間をもとに算定されることになります。

以下では、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準に即して、それぞれ具体的な金額の計算方法を解説します。

 

自賠責保険基準での計算

自賠責基準での慰謝料の算定方法を説明します。

自賠責基準の慰謝料は、1日4300円です。

日数の算定方法は少し複雑です。

以下の日数のうち少ない方の日数が対象となります。

  1. ① 実際に通院した日数(実通院日数)を2倍にした日数
  2. ② 通院期間における日数

具体例 事故発生から120日の間に、50日病院や整骨院に通院した場合

50日 × 2 = 100日(実通院日数の2倍)120日(通院期間)

この場合、実通院日数を2倍した100日の方が通院期間の120日よりも少ないので、

100日が慰謝料算定の対象日数となります。

したがって、この場合、4300円 × 100日 = 43万円が慰謝料金額となります。

 

任意保険基準での計算

任意保険会社の算定基準は、上述のとおり、各保険会社が独自に基準を定めています。

また、公開はされていないため確定的な金額を示すことはできません。

もっとも、かつては、すべての保険会社が共通で使用していた損害賠償の算定基準(旧任意保険基準・下表)が存在していました。

規制緩和のため、平成11年に旧任意保険基準は撤廃されましたが、このときの基準の一部又は全部を踏襲していると考えられます。

したがって、任意保険会社の基準については、旧任意保険基準が一応の目安になると考えます。

旧任意保険基準

表の見方 

  • 慰謝料算定では1ヶ月=30日とします
  • 通院のみのときは、「通院」の欄の通院期間(一番左の列の月数)に対応する部分の金額が慰謝料の基準となります。
  • 入院と通院があった場合は、入院した月数と通院した月数とが交わる欄に記載された金額が慰謝料の基準となります。

具体例① 事故発生から120日の間に、50日病院や整骨院に通院した場合

「自賠責基準の算定」で説明した具体例(事故発生から120日の間に、50日病院や整骨院に通院した場合)を上表に当てはめてみます。

120日間の通院のみですので、「通院」の欄の通院期間(一番左の列の月数)の「4か月」に対応する部分の数字に「47.8」とあることから、47万8000円となります。


具体例② 骨折をして60日間入院し、その後120日間通院を継続した場合

この場合、入院「2月」の横軸と通院「6月」の横軸の交わる「102.0」、すなわち、102万円が傷害慰謝料となります。

 

弁護士基準での計算

弁護士基準でも、上記の任意保険基準で説明した表と同様に、傷害慰謝料は、入院・通院期間を基礎として算定されます。

ただし、任意保険基準とは異なり、表が2つあり、かつ、金額も異なります

表1は、骨折や脱臼など他覚的所見がある場合(レントゲン等で異常があると分かる場合)に用いられる表です。

表2は、むちうち症や打撲、挫創など、他覚的所見がない場合(つまり軽症のケース)に用いられる表です。

表1:骨折などの場合の早見表

引用元:赤い本 別表Ⅰ 入通院慰謝料基準|日弁連交通事故相談センター

表2:むちうちなど軽傷時の早見表

引用元:赤い本 別表Ⅰ 入通院慰謝料基準|日弁連交通事故相談センター

表の見方

  • 慰謝料算定では1ヶ月=30日とします
  • 通院のみのときは、「通院」の欄の通院期間(一番左の列の月数)に対応する部分の金額が慰謝料の基準となります。
  • 入院と通院があった場合は、入院した月数と通院した月数とが交わる欄に記載された金額が慰謝料の基準となります。

具体例 120日の間に、50日通院した場合

事故発生から120日の間に、50日病院や整骨院に通院した場合を上表に当てはめてみます。

骨折などの場合

表1を使用します。

120日間の通院のみですので、「通院」の欄の通院期間(一番左の列の月数)の「4か月」に対応する部分の数字に「90」とあることから、90万円となります。

捻挫や打撲などの軽傷時

表2を使用します。

120日間の通院のみですので、「通院」の欄の通院期間(一番左の列の月数)の「4か月」に対応する部分の数字に「67」とあることから、67万円となります。

治療頻度による修正

弁護士基準では、上記のとおり、入通院期間を踏まえて算定されます。

但し、入通院期間が長期にわたる場合には、症状、治療内容、通院頻度を踏まえて、実通院日数(実際に通院した日数)の3.5倍程度(むちうちなど他覚的所見がない場合は3倍程度)を通院期間として算定されることがあります。

例えば、骨折で2年間にわたり月1回、合計24日通院していたという場合、通院期間をそのまま2年間とするのではなく、24日 × 3.5倍 = 84日として通院期間を計算される場合があるということです。

 

保険会社からの慰謝料提示は要注意!基準を比較

下表は、事故発生から120日の間に、50日病院や整骨院に通院した場合を前提として、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の入通院慰謝料の結果をまとめたものです。

自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
軽症の場合 軽症ではない場合
43万円 47万8000円 67万円 90万円

弁護士基準の慰謝料が最も高額となります。

保険会社から慰謝料の提示があったときは、適正な金額ではない可能性が高いため、弁護士に相談なさってください。

 

交通事故の慰謝料は通院日数が計算に影響する

上で解説したとおり、基本的には通院日数が長くなるほど、交通事故の慰謝料は高くなります。

ここでは、よくご相談が多い、通院2ヶ月から6ヶ月を例にして、具体的にどの程度異なるかご紹介します。

通院 2ヶ月の交通事故の慰謝料

骨折などの場合 むちうちなど軽傷の場合
52万円 36万円

 

通院 3ヶ月の交通事故の慰謝料

骨折などの場合 むちうちなど軽傷の場合
73万円 53万円

通院 4ヶ月の交通事故の慰謝料

骨折などの場合 むちうちなど軽傷の場合
90万円 67万円

 

通院 5ヶ月の交通事故の慰謝料

骨折などの場合 むちうちなど軽傷の場合
105万円 79万円

 

通院 6ヶ月の交通事故の慰謝料

骨折などの場合 むちうちなど軽傷の場合
116万円 89万円

 

②後遺障害の交通事故慰謝料の早見表

【後遺障害慰謝料の3つの基準の比較】

次に、後遺障害の慰謝料を計算してみましょう。

後遺障害慰謝料とは、交通事故により後遺障害が残った場合に請求できる慰謝料です。

後遺障害の等級により、慰謝料の金額が異なります。

下表は、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準を比較したものです。

自賠責保険基準 旧任意保険基準 弁護士基準
1級 1150万円(1650万円) 1600万円 2800万円
2級 998万円(1203万円) 1300万円 2370万円
3級 861万円 1100万円 1990万円
4級 737万円 900万円 1670万円
5級 618万円 750万円 1400万円
6級 512万円 600万円 1180万円
7級 419万円 500万円 1000万円
8級 331万円 400万円 830万円
9級 249万円 300万円 690万円
10級 190万円 200万円 550万円
11級 136万円 150万円 420万円
12級 94万円 100万円 290万円
13級 57万円 60万円 180万円
14級 32万円 40万円 110万円

※( )内は「介護を要する後遺障害」の場合の金額です。
※任意保険基準は、上述の旧任意保険基準であり、各保険会社の基準は異なる場合があります。

引用元:自動車損害賠償保障法施行令|電子政府の総合窓口

上記表からもわかるとおり、弁護士基準は、自賠責保険基準や任意保険会社基準の慰謝料額を大きく上回っています。

弁護士が、交渉する場合や裁判になった場合には、上記表の裁判基準の金額で交渉を行うことになります。

ただし、この数字は絶対的なものではありません。

被害者に残存している後遺症の程度に応じて、弁護士基準からさらに増額の主張をすることもあります。

また、等級に該当しなかった場合であっても、後遺症慰謝料が認められるケースもあります

判例 後遺障害に非該当でも、後遺症慰謝料が認められたケース

後遺障害に該当する視力障害までは残らなかったものの、後遺症慰謝料として70万円を認めました。

【東京地判平13.4.11】

 

③死亡の交通事故慰謝料の早見表

死亡慰謝料の自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の各相場は以下のとおりです。

自賠責基準

被害者の慰謝料と遺族固有の慰謝料の合計額を請求できます。

被害者の慰謝料
400万円

遺族固有の慰謝料
請求権者 1名 550万円(750万円)
請求権者 2名 650万円(850万円)
請求権者 3名以上 750万円(950万円)

※( )の金額は請求権者に被扶養者がいる場合の金額です

 

任意保険基準

任意保険基準は現在、各保険会社が独自に作成しており、公開はされていませんので、参考として、下表の旧任意保険基準をご紹介します。

被害者の立場 慰謝料額
一家の大黒柱 約1500万円〜2000万円
専業主婦・主夫、配偶者 約1300万円〜1600万円
子ども、高齢者、その他 約1100万円〜1500万円

 

弁護士基準

被害者の立場 慰謝料額
一家の大黒柱 2800万円
専業主婦・主夫、配偶者 2500万円
子ども、高齢者、その他 2000万円〜2500万円

「一家の支柱」とは、亡くなった被害者が被害者の家族の家計を支えていた場合です。

「その他」とは、独身の男女、子供、幼児等です。

 

各基準の比較

上記のとおり、自賠責保険基準、旧任意保険基準と弁護士基準とでは、死亡慰謝料もまったく異なります。

具体的には一家の大黒柱が亡くなった場合、800万円から1300万円の差が生じます。

弁護士が、交渉する場合や裁判になった場合には、基本的には弁護士基準の金額で交渉を行うことになります。

ただし、上記の金額は、あくまで目安であり、扶養家族の数や加害者側の加害行為の態様などによって、金額は増減することがあります。

 

 

交通事故で請求できるのは慰謝料だけではない!

交通事故に遭った方は、相手から適切な賠償金を受け取りたいと考えていらっしゃいます。

注意していただきたいのは、「慰謝料は、交通事故の賠償項目の中の一つに過ぎない」ということです。

つまり、慰謝料以外にも、様々な種類の賠償金を受け取ることができます。

慰謝料以外の主な賠償項目には以下のようなものがあります。

 損害項目 内容
休業損害 仕事を休んで減収した場合の損害
逸失利益 後遺障害による将来の減収に対する賠償
積極損害 治療費 ケガの治療費や入院費用など
通院交通費 病院や整骨院に通院する際の費用
入院雑費 入院した場合に要する雑費
付添費用 幼児などの通院付添や入院付添費用など
車の修理費用 事故により破損した車の修理費用

休業損害について、くわしい解説はこちら

逸失利益について、くわしい解説はこちら

治療費などの積極損害について、くわしい解説はこちら

ワンポイント:交通事故の慰謝料と示談金の違いは?

よく「示談金」という言葉を耳にしますが、示談金というのは、交通事故などの賠償責任が問題となるケースにおいて、裁判所を利用せずに、当事者同士で解決する場合の解決金のことを言います。

示談金の中には、慰謝料や上の表のその他の損害も含まれています。

したがって、慰謝料は示談金の一部と位置づけられます。上で解説したとおり、慰謝料の基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判所基準)があり、それぞれの基準によって金額が変わってきます。

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当事務所は、慰謝料を含めた賠償金の適正額をスマホで簡単に計算できるシミュレーターをウェブサイト上に公開しています。

どなたでも、無料でご利用いただけますので、賠償金の相場を知りたい方はぜひご活用ください。

 

 

交通事故慰謝料の請求の流れ〜事故発生から支払まで〜

以下は、慰謝料の受け取りまでのフローチャートです。

交通事故慰謝料の請求の流れ

 

交通事故の慰謝料はいつもらえる?

交通事故の慰謝料は、上で示した示談または裁判のいずれかによって、受け取る時期が変わります。

示談の場合 裁判の場合
示談成立後 判決確定後

相手の保険会社の対応によって異なりますが、示談成立後、または判決確定後、概ね1ヶ月程度で支払われることが多いようです。

ワンポイント:解決までの期間

交通事故の解決までの期間は事案によって大きく異なります。

特に複雑ではなく、争点があまりないときは、示談の場合で数ヶ月から半年程度となるでしょう。

裁判の場合は、1年を超えるケースが多い印象です。

 

交通事故の慰謝料が増額するケース

これまで慰謝料の相場を説明してきましたが、ケースによっては、相場の慰謝料額から増額した金額が認められることがあります。

以下では、相場の慰謝料額よりも増額された裁判例を紹介します。

慰謝料が増額された裁判例

判例① 死亡事故での慰謝料増額裁判例【 東京地判平18.10.26 】

兼業主婦の事例で、加害者が多量に飲酒しており(呼気一リットル中約0.55ミリグラム)正常な運転ができない状態で運転し、仮眠状態になったことで事故を発生させていること、運転の動機が身勝手(翌朝も車で出勤したい)であることなどの事情を勘案して本人分2700万円、夫200万円、子3人各100万円の合計3200万円の賠償を認めています。

→弁護士基準の相場では、兼業主婦(配偶者)の死亡慰謝料は2500万円ですが、合計3200万円の慰謝料が認められています。

判例② 後遺障害での慰謝料増額裁判例【 名古屋地判令2.10.7 】

高次脳機能障害(9級)、顔面の醜状障害(9級)で併合8級相当の後遺障害に認定された兼業主婦の事例で、加害者が飲酒運転の発覚を免れるため職務質問を無視して発進し、時速135km(制限速度時速60km)で走行し、衝突後も逃走を図ろうとし救護もしなかったことから、後遺障害慰謝料として1100万円が認められています。

→弁護士基準の後遺障害8級の慰謝料は830万円なので280万円が増額されています。

判例③ 傷害事故での慰謝料増額裁判例【 名古屋地判平13.9.21 】

加害者が、赤信号無視で交差点に進入したものの、警察に青信号で侵入したと虚偽の供述をした結果、被害者が被疑者として取り調べを受けたことや、被害者が胃炎や円形脱毛症を発症するに至ったことなどから、慰謝料として200万円(事故から1年9カ月通院)が認められました。

→通院期間1年9ヶ月で骨折等の他覚所見がない場合、傷害慰謝料は約128万円程度なので、約70万円増額されています。

 

 

交通事故の慰謝料が減額されるケース

交通事故の慰謝料が減額される可能性があるケースをご紹介します。

素因減額

素因減額とは、被害者の疾患や心因的な要因などが原因で、損害が発生拡大した場合に損害額を一定割合控除することです。

交通事故で負傷した部位について、事故前から障害があり、それが原因で治療期間が長引いたり、後遺障害の等級が重くなるような場合には、相手方から素因減額の主張がされる可能性があります。

素因減額が認められると、賠償金が一定割合控除されることになります。

 

過失相殺

過失相殺とは、交通事故の発生について、被害者側にも落ち度があるときに、損害額を被害者の責任割合に応じて控除するという考え方です。

過失相殺は、被害者に何らかの原因があった場合に、被害者に生じた損害のすべてを加害者に負わせるのは妥当ではなく、被害者の責任部分については、減額するというのが損害の公平な分担であるという考えに基づいています。

過失相殺について詳しく確認したい場合にはこちらをご覧ください。

 

 

交通事故慰謝料の4つのポイント

①しっかりと治療に専念すること

入通院慰謝料は、上述のとおり、基本的には入院している期間と通院している期間の長さで判断されます。

交通事故に遭った方の中には、会社や学校が忙しいという方もいらっしゃるでしょう。

しかし、ケガの痛みを我慢して治療をおろそかにしてしまうと、本来請求できるはずの適切な慰謝料を支払ってもらうことができない可能性があります。

したがって、治療の必要性がある場合はしっかりと治療を継続することが重要です。

 

②保険会社の提示を鵜呑みにしないこと

上述のとおり、慰謝料には、①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士基準があります。

弁護士基準は、仮に裁判となった場合に認定される損害額です。

すなわち、公平な第三者である裁判所が認める「適切な賠償金」といえます。

これに対して、任意保険の基準は、保険会社が独自に定めた基準であり、上述したとおり、一般的には裁判基準を下回っています。

被害者としては、当然、裁判基準の慰謝料を受け取りたいと考えるでしょう。

そのため保険会社から提示される金額を鵜呑みせず、裁判基準を請求することが重要です。

 

③賠償金の適切な金額を知ること

慰謝料は、基本的には上述した弁護士基準の額が適切といえます。

また、交通事故で請求できる賠償金は慰謝料だけではありません。

治療費などの積極損害の他、後遺障害がある場合は逸失利益、仕事を休んだ場合は休業損害等も請求可能です

これらの賠償金について、適切な額を知ることが重要です。

被害者の方の中には、早期解決のために、保険会社の提示額に応じるという方もいらっしゃいます。

しかし、前提として「本来もらえるべき金額」がどの程度かを知ることは、示談すべきかどうかを決めるための重要なプロセスです。

当事務所は、慰謝料を含めた賠償金の適正額を簡単に計算できるシミュレーターをウェブサイト上に公開しています。

上で解説した弁護士基準での相場を知ることができるので、ぜひご活用ください。

 

④専門家に相談すること

賠償金の適切な額を知るために、交通事故を専門とする弁護士に相談されるべきです。

現在は、インターネットで専門的な情報も入手可能です。

ただ、インターネットはとても便利ですが、情報の信用性という点で専門書には劣ります。

そこで、インターネットの情報を見る場合は、その発信源(交通事故の損害賠償請求であれば弁護士が執筆した記事か否か)を確認し、かつ、参考程度にとどめた方がよいでしょう。

インターネットの記事は、あくまで不特定多数の方が見ることを前提に作成されており、個別具体的な状況を前提とはしていません。

そのため、問題解決に最適な情報ではない可能性もあります。

 

 

交通事故の慰謝料をどこに相談すべき?

交通事故の慰謝料については、相談窓口として、弁護士の他に、司法書士、行政書士、その他の者が考えられます。

交通事故の慰謝料は弁護士への相談が一番

交通事故の慰謝料についての相談としては、結論として弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故において、専門家が行う具体的な業務としては、交通事故の相談対応、示談書等の書面の作成、加害者との交渉、交通事故裁判があります。

下表はこれらの業務への専門家の対応をまとめたものです。

交通時の業務 弁護士 司法書士 行政書士 その他
交通事故の相談
示談書の作成
加害者との交渉
裁判対応

交通事故の慰謝料請求等の法律事務は、高度な専門知識や経験を要するため、サポートすることができるのは法律上、基本的に弁護士にのみ許されています(弁護士法72条)。

参考:弁護士法|e-GOV法令検索

そして、例外的に他の士業にもそれぞれの職務に応じた限度で法律事務をサポートすることが認められています。

司法書士の場合、法務大臣の認定を受けることで140万円未満のケースについて、サポートすることが可能です。

しかし、交通事故において、賠償金の総額が140万円以上の未満となるケースは多くありません。そのため「△」と表示しています。

また、行政書士については、権利義務に関する書類の作成ができることから、相談業務や示談書の作成が可能という見解もあります。

しかし、この見解を前提としても、示談書の内容(例えば慰謝料の金額)の妥当性を適切に判断するためには、交通事故の法令や裁判例に対する深い知識が必要です。

したがって、交通事故については、全般的に弁護士に相談すべきといえます。

 

交通事故を弁護士に依頼するデメリットは?

交通事故を専門家に依頼するとき、その費用の負担を気になさる方もいらっしゃいます。

しかし、交通事故においては、相手の保険会社が適正額を提示していないことが多いため、弁護士に依頼することで、慰謝料等の賠償金を増額できるケースが多いです。

そのため、費用面のデメリットは基本的にはないと思われます。

しかし、物損事故などの場合、弁護士に依頼することで費用倒れとなるケースもあります。

したがって、くわしくは交通事故に強い弁護士にご相談されると良いでしょう。

 

交通事故を弁護士に依頼するときの費用は?

弁護士の費用は、法律相談料、着手金、成功報酬があります。

これらについては被害者の方の保険に「弁護士費用特約」が付いているか否かで異なります。

弁護士費用特約が付いている場合、相談料、着手金、成功報酬とも有料の場合が多いですが、これらは基本的に保険会社が支払ってくれるため、自己負担はゼロとなることが多いです。

弁護士費用特約が付いていない場合、相談料や着手金は0円で、完全成功報酬とする事務所が多いと思われます。

合わせて読みたい
弁護士費用

 

 

交通事故慰謝料のよくあるQ&A

ここでは、交通事故慰謝料に関するよくあるご質問と回答をご紹介しています。

事故で1日あたりの慰謝料はいくらですか?

上で解説したとおり、入通院慰謝料の相場は、怪我の程度と入通院期間の長さで決まります。

1日あたりでまとめると下表のようになります。

むち打ちなどの軽傷の場合 骨折などの重傷の場合
通院1日あたり6000円程度
入院1日あたり1万円程度
通院1日あたり8000円程度
入院1日あたり1万6000円程度

交通事故の示談金はいくらくらいですか?

示談金には、慰謝料だけでなく、休業損害、逸失利益、治療費などの損害が含まれます。

適切な示談金の額については、ケース・バイ・ケースであり、専門的な判断が必要です。

簡易的に賠償金の概算額を調べたい場合、当事務所の計算機をお試しください。

 

交通事故の慰謝料に税金がかかる?確定申告は必要?

交通事故の被害者が相手から受け取る慰謝料等の賠償金は、基本的には非課税であり、税金はかかりません。
また、確定申告も特に必要はありません。

例外については、下記をご参照ください。

 

交通事故慰謝料は確定申告すべき?

交通事故慰謝料は非課税ですので、確定申告も特に必要はありません。

参考:国税庁ホームページ

 

交通事故慰謝料で自賠責と任意保険の両方からもらえる?

上で解説したように、自賠責は最低限のものであり、適正な賠償金(弁護士基準)の一部しか受け取ることができません。

したがって、自賠責で慰謝料を受け取っても、その他について保険会社に請求することが可能です。

 

交通事故の慰謝料から治療費は引かれる?

加害者の保険会社から示談金の提示を受けるとき、通常、治療費については既払い済みとして、示談金から引かれることが多いです。

しかし、これはあくまで治療費としての既払い金ですので、「慰謝料」から引かれることはありません。

すなわち、慰謝料と治療費は別々の損害項目となります。

 

交通費を交通事故の慰謝料として請求できる?

通院するために必要な交通費などは、通常、被害者が被った損害として、加害者に請求することが可能です。

なお、交通費と慰謝料は別個の損害ですので、それぞれわけて算定し、請求することになります。

 

慰謝料請求に期限はありますか?


慰謝料の請求には、時効が存在します。

ケガをした場合の消滅時効は、基本的には5年となります。

なお、物損の場合や自賠責保険への被害者請求の消滅時効は3年です。

【根拠条文】

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条の二 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

引用元:民法|電子政府の窓口

 

 

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まとめ

以上、交通事故慰謝料の内容や正しい計算方法、請求のポイント等について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

交通事故の慰謝料には、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つがあり、被害者の方は、裁判基準によって算出した額を受け取る法的な権利があります。

そのためには、保険会社の提示を鵜呑みにせず、慰謝料を含めた賠償金の適切な額を知ることが重要です。

また、ネット情報は参考程度にとどめて、できるだけ交通事故の専門家に相談することをお勧めいたします。

この記事が交通事故に遭われた方にとって、お役に立てば幸いです。

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