②休業損害(休業補償)

休業損害とは、被害者が交通事故により傷害を負ってから症状固定(または治癒)するまでの間に、仕事を休んだり、時間を短くして勤務するなど事故前よりも不十分な労働しかできなかったことで生じる収入減収のことです。

休業損害は、基本的に、「収入日額 × 休業日数」で計算されます。

被害者の方の職業によって、どのように「収入日額」や「休業日数」をカウントするかという問題があります。

裁判基準では、収入とは実際の収入のことですが、保険会社は、低く見積もった金額を提示してくることがあります。

色々な職業のイメージイラスト以下、被害者の類型別に説明します。

 

給与所得者(サラリーマン)の場合

会社員のイメージイラスト会社にお勤めの方が被害者となった場合、事故前の収入を基礎として、事故によって休業したことによる現実の収入減少が休業損害となります。

また、現実の収入減がなくても、通院や入院の際に、有給休暇を取得して休んだような場合も、休業損害の対象となるため、有給休暇取得日も休業日数としてカウントされます。

さらに、休業中、昇給ないし降格があった場合、その収入を基礎として算定します。

休業にともなって、賞与が減額された場合ないしは不支給となった場合、昇給・昇格遅延による損害も認められる傾向にあります。

交通事故の場合、「休業損害証明書」という所定の書式を勤務先に作成してもらい、この「休業損害証明書」をもとに休業損害を算定することが一般的です。

会社員の休業損害について、こちらご覧ください。

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事業所得者の場合

自営業者などの事業所得者が被害者となった場合、事故による現実の収入減少があれば、休業損害が認められます。

確定申告書や帳簿などの資料により、事故後収入が下がっていることを証明して休業損害を請求することになります。

しかし、確定申告をしていなかったり、帳簿などの資料を持っていない場合は、事故によって収入が減少していることを証明することが困難となるため、事故後はこれらの資料が散逸しないように、きちんと保存しておきましょう。

また、家賃や従業員の給与等、休業中の固定費については、事業の維持・存続のため必要やむを得ない分については損害として認められる可能性があります。

自営業の休業損害について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

会社役員の場合

仕事をする男性会社役員の方が被害者となった場合、役員報酬の性質によって休業損害が認められるかが変わります。

すなわち、役員報酬が会社の利益配当の実質を持ち、被害者が働くことができない(または働くことを制限されている)状態であっても支給されるような場合は、事故による減収がなく、休業損害は認められません。

一方、役員報酬が労務提供の対価として支給されており、被害者が働くことができなかったために支給額が減少したような場合は、休業損害として認められます。

判例 被害者の夫が代表取締役で、被害者自身は専務取締役だが2名のパート従業員と肉体労働に従事していたケース

この事案で、裁判所は、被害者が休業中でも人員の増員はなく、売上・利益とも横ばいもしくは増加する一方、他の役員報酬が増加したり、復帰後軽作業であるにもかかわらず、月額報酬が45万円であったことなどを重視し、実質的な利益の配当部分が少なくとも40%であったとして、年収の60%の720万円を基礎に、事故後の6か月間を100%、その後症状固定まで2か月間を50%で合計420万円の損害を認めました。

【大阪地版平成15.4.30】

以上の2つのどちらかに割り切れる場合はまだしも、利益配当の面と労務対価の面の両方の性質を持つ役員報酬の場合は、どの程度の割合を労務対価部分とみるかという難しい問題を生じます。

会社役員の休業損害について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

家事従事者(主婦)の場合

家事をする主婦のイメージイラスト専業主婦の方が被害者となった場合も、休業損害が認められます。

主婦の方も、自分以外の家族のために家事労働を行なっていると評価できるからです。

しかし、主婦の方の家事労働を金銭に評価することは困難です。

そのため、交通事故の損害賠償においては、一定の統計値(賃金センサス女子全年齢・学歴計平均値)を用いて収入日額を算定することが一般的です。

また、休業日数は、家事ができなかった度合いにより、割合的認定(例えば、事故から1週間は100%、その後1ヶ月は75%など)を行うことが多いです。

参考:賃金構造基本統計調査(e-stat 政府統計の総合窓口)

また、パートタイマーや内職等の兼業主婦については、現実の収入額と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎として算出する傾向にあります。

家事従事者の休業損害について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

無職者の場合

学生のイメージイラスト事故当時無職だった方が被害者となった場合、原則として休業損害が認められません。

しかし、就業の予定があったのに、事故によって就業できなくなったり、就業が遅れたような場合は、休業損害を請求できる場合もあります。

学生さんは、アルバイトの休業や、事故による就業の遅れなどについて、休業損害を請求できる可能性があります。

無職者の休業損害について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

 

まとめ弁護士当事務所では、交通事故専門の弁護士が裁判例等をもとに、適正な休業損害を計算し、保険会社に請求を行います。

具体的事情により、計算方法は異なりますので、詳細をお知りになりたい方はお気軽にご相談下さい。

 

 

 

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